現役の幼児教室講師が徹底解説!子どもを自立させる具体的な方法とは?【コラム】
「自立」の本当の意味とは?
「子供の自立」とは、親の手がかからない、放っておいても勝手にすべきことをやってくれる、ということではありません。子供が、【 ①自分で考え 】、【 ②状況に合わせて判断 】し、【 ③行動できるようになる 】ことです。そうなると、自分がしたいことを見つけて、そのために何をすべきかを判断して、目的に向かって行動することができます。
しかし、これには重要な要素が抜けています。それは、「人との関係性を作る力」です。子供の自立は、親と子供の関係だけで完結させられるものではありません。自分の周りに先駆者・共闘者・理解者を作ることが、将来子供にとって、幸せに生きる糧になるのではないでしょうか。
先駆者は、自分の目標となる人です。共闘者は、切磋琢磨できるライバルです。理解者は、辛いときにも支えてくれる人です。子供が、そういう人たちを見つけ、社会の中で自分のよさを活かして幸せに生きる、つまり、社会性を育てることが、子育ての最終ゴールなのかもしれません。
では、子供が幸せな自立をするために、幼児期の今、親がすべきことは何でしょうか。
【 ①自分で考える 】
「自分で考える」ために大切なことは、「任される」「達成する」「褒められる/感謝される」という経験をいかに積むことができたか、が重要です。家族の中で役割を決め、子供ができる仕事を与えます。1回きりの仕事ではなく、毎日家族の洗濯物をたたむ、ペットにごはんをあげる、週末に拭き掃除をするなど、続くものがよいです。なぜなら、一日の中でいつの時点でするのがよいか、段取りや予定を考えたり、早く終わらせるには、と効率的な方法を考えたり、責任感・思いやりを育てたり、など、様々な考える力をつけられます。
この時大切なことは、下の2点です。
②褒める・感謝するの後に「どうしたら・・・だと思う?」と聞き、自分で答えを探してもらうこと
例えば、
「どうしたらお皿を一度に運べると思う?」
「どうしたらペットが飲む水がこぼれないようにできると思う?」
「どうしたら忘れずにお仕事のお約束守れると思う?」
など、親がこうしたら?と言うのではなく、自分で方法を考えてもらうのです。
もちろん、大人が思うような答えが返ってくるとは限りません。しかし、もっといい方法があるとわかっていても、「なるほど!それはいい考えだね!やってみよう!」と行動を促すことが大切です。そうすると、自分で考えて少しでも改善できたとき、達成できた喜びから、自分で考える癖がつきます。そうなれば、自立に一歩近づいたといえるでしょう。
【 ②状況に合わせて判断する 】
状況に合わせて判断する力をつけるためには、2つのポイントがあります。
まず、1つ目のポイントは、幼児期に善悪の判断軸を作ってあげることです。
幼児期は特に、自分の感情任せの行動をします。しかし、子供の行動が、危険である、人に迷惑がかかる、という場合、いけないことだと、子供の目を見て伝えることが必要です。
その時、なぜいけないことなのか、理由を伝えることを決して忘れないでください。
生徒さんの中に、お母様のお顔をチラチラ見る子がいます。それは、お母さんが怒るか怒らないかが、その子の判断の軸になっているのです。しかし、もう少し大きくなって自我が出てきたとき、その軸が崩壊し、自分がどう思うかが判断基準になってしまいます。社会に出たときに子供が困らないように、判断軸を作ってあげることが、自立への近道です。
2つ目のポイントは、状況を見る力をつけるために、広い視野と多面的な見方を作ってあげることです。
広い視野を持つとは、自分だけの世界でものを見るのではなく、周りに目を向け、自分や人の状況を見ることです。
また、多面的な見方とは、一つの事実に対して、その通りとらえるのではなく、もしかしたら理由があるかもしれない、裏があるかもしれない、と考えられることです。
例えば、「〇〇ちゃん、嫌い」と言われて、文字通り受け取ってしまうと、「私も嫌い!」と言ってしまうかもしれません。しかし、多面的にものごとがとらえられた場合、「もしかして、あの時こう言ったから傷つけてしまったのかな。」「八つ当たりしたいくらい、嫌なことがあったのかな」と思えるかもしれません。
状況に合わせて判断することができれば、社会で人とうまく協調して活躍できます。
【 ③行動できるようになる 】
行動できるようになるために必要なことは、自分に自信を持つことです。自分に自信があれば、失敗を恐れずに挑戦することができ、失敗しても、次は乗り越えるぞ、と、へこたれません。
では、自信をつけるには、どうしたらいいでしょうか。子供に小さな成功体験をたくさん積ませてあげることと、親が挑戦した過程を褒めることです。小さな成功体験とは、お手伝いをして感謝される、や、大人の手を借りずに一人で頑張りきった、など、どんなに小さなことでもいいので、自分で頑張ったことに対して褒められる、感謝される経験を積ませてあげてください。
もう一つ、挑戦した過程を褒めることが大事です。できた時、正解した時だけ喜び、褒めていると、間違えることを恐れて引っ込み思案になったり、間違えた時に隠そうとします。頑張ったこと、挑戦したことに対して褒めることで、失敗を恐れず、行動できるようになります。
子供を自立させるために必要な接し方は?
お子様への普段の接し方を思い出してみてください。
・工作遊び(紙を破ったり、絵具を使ったりなど)をしようとすると、「散らかるからやめて」と止める
・長く歩かせるとぐずるので、ベビーカーに乗せて移動する
⇒ これを、以下のように変えてみて下さい。
「一生懸命ボタンを留めようとしているんだね!えらい!今日は長い針が6のところで出かけないと幼稚園に遅れるから、お母さん少しお手伝いするね。上から3番目までは〇〇くん担当、上から4番目からはお母さん担当ね!」など、ゴールを設定して、自分で完結させた!という達成感を得る機会を作る。(この言い方であれば、「上から〇番目」や、時計の針を意識する、という学びにもつながる)
・家や服が汚れないように大人側が準備をし、子供が怒らなくてもよい状態にする。指先を使う遊びを自由にさせてあげる
・「疲れた」と言っても、あそこまで頑張ろう!とゴールを設定し、少しずつ「自力で頑張り抜く」ことを体験させ、達成したときは一緒になって喜ぶ
親側としては、毎日1日を過ごすだけでも大変です。自分の時間を持つことなんて夢のまた夢、という方もたくさんいらっしゃるでしょう。
しかし、今、この幼児期のうちに、自立できる子供に育てることを目標に、行動・声掛けを変えれば、その後の子育てがぐんと楽しくなります。お子様が人との関わりを喜びながら、毎日活き活きとしている、こんな風にできるのは、他でもない、お父様、お母様です。
さぁ、お子様への接し方、声掛けを変えてみましょう!ここが腕の見せどころです!
子供の自立を促す接し方 まとめ
幸せな自立のために 育てるべき力 |
接し方のポイント | 声掛け例 |
自分で考える |
●「任される⇒達成する⇒褒められる/感謝される」のサイクルを作る
●いい方法を自分で考えさせる |
►「ありがとう!〇〇ちゃんのおかげできれいになったよ!」
►「どうしたら・・・だと思う?」 |
状況に合わせて 判断する |
●善悪の判断を理由をつけて伝える
●親の気持ち・考えを伝える/第三者の状況・気持ちを伝える |
►「危ないときは真剣に怒るよ。だって〇〇ちゃんがケガしたら、お母さん悲しいから」
►「お友達はもっと一緒に遊びたかったから泣いちゃったのかもしれないってお母さんは思うな。〇〇ちゃんはお友達が泣いたのはどうしてだと思う?」 |
行動する |
●小さな成功体験をたくさん積ませてあげる
●挑戦した過程を褒める |
►「すごい!〇〇ちゃん、自分でボタン留めてみたの?よく頑張ったね!前より上手になってるよ!」 |
人との 関係性を作る |
●上記の声掛けすべて + 子供自身の他者との関わりを否定しない |
►「新しくお友達できたの?今度お家に呼んでおいで。」
►「〇〇ちゃん、いいお友達できてよかったね!」 |
関連記事