幼児教室の講師が解説!幼児期にコミュニケーション能力を育てるには【コラム】
新型コロナウイルスの流行により家にいる時間が増え、
他人と話す時間が減ったという方は多いのではないでしょうか?
子どもたちも、幼稚園や学校などが分散登校になったこともあり、
以前よりもお友だちと接する機会が減っていると思います。
その一方で、今回のコロナウイルスとは関係なく、幼児の保護者が抱える悩みの1つとしてよくあるのが
「お友だちとの関係性」です。
具体的には、
・お友だちとケンカになった
・お友だちと一緒に遊べない
などです。
そして、悩まれている保護者の話を聞いていると、
「明るくないから…」
「内気な性格だから…」
といった理由を挙げて、コミュニケーション能力がないと仰います。
しかし、本当に上記のような理由が原因なのでしょうか。
反対に、明るく元気な子どもなコミュニケーション能力が高いのでしょうか。
そこで今回は、
「幼児期にコミュニケーション能力を育てるには」をテーマにお話したいと思います。
1.コミュニケーション能力とは
コミュニケーションという言葉はとても曖昧ですが、辞典などで調べると下記のように出てきます。
『社会生活において、他者と意思疎通が円滑にできる能力』
これでは固いので、子どもにも分かりやすくすると、
『②相手に自分の考えを伝える力』
の2つに分けて考えることができます。
Point▽
コミュニケーション能力を身につけるには、『理解する力』と『伝える力』を育てる
2.コミュニケーション能力の重要性
幼児期の子どもでなくても、
近年さまざまな場面でコミュニケーション能力の重要性が唱えられています。
例えば、以下のようなものがあります。
●小学校生活におけるコミュニケーション能力
幼稚園や保育園から小学校に上がったときに、
上手くクラスに馴染めないなどの「小1プロブレム」や「お友だち関係のトラブル」があります。
(※詳しくは、『【コラム】小1プロブレムの原因と対策』をご覧ください。)
これらの問題は、コミュニケーション能力が高い子どもには起こりにくいと考えられます。
なぜなら、まわりの子どもとコミュニケーションがとれることで、協力しあったり話し合ったりすることができるからです。
仮にクラスの中で分からないことがあったり、まわりよりも遅れそうになったりしたとしても、
聞いたり、助けてもらったりすることができます。
またトラブルがあっても、相手の意見を聞いたり、自分の考えを伝えたりすることで解決することができます。
●就職活動や社会人生活におけるコミュニケーション能力
新卒採用における経団連のアンケート結果を見ると、選考時に重視した点の上位5項目は次のような結果となっています。
“1位…コミュニケーション能力 82.4%
2位…主体性 64.3%
3位…チャレンジ精神 48.9%
4位…協調性 47.0%
5位…誠実性 43.4%”
コミュニケーション能力は、16年連続でダントツ1位です。
これは、仕事をされている保護者の方なら日ごろ実感しておられるのではないでしょうか。
Point▽
コミュニケーション能力は、将来にわたって役立つ能力である
3.タイプ別!親の関わり方を変えると、子どもが変わる!
子どもが一番信頼している人は、間違いなく親です。
親から言われた一言は、思う以上に子供にとってはインパクトが強いものです。
だからこそ、子どもを変えることができるのです(幼児の間は特に!)。
子どものタイプ別!親の関わり方のヒントをお伝えします。
●引っ込み思案タイプ
引っ込み思案なのは、まだ自分に自信が持てていないからです。
普段の声掛けで、結果が出たときにだけ褒めていませんか?
プリントをするときに、子どもが頑張って考えたことはさておいて、間違いを指摘してしまっていませんか?
そのような声掛けをしていると、何に対しても「正解は一つしかない」「正解以外はダメなことなんだ」と思い込み、
正解だと確信が持てないと、発言や行動ができなくなってしまいます。
親がとるべき対処法は、以下の通りです。
・結果よりも過程を褒める
〇「一生懸命頑張って走れたね!」
・失敗したとき、次の機会のために一緒に対策を考える
〇「そういうときもあるよ!次なくさないようにどうしようか?」
・解決するには、色々な方法/考え方があることを伝える
〇「あ~、そういう風に考えたんだ!なるほど!お母さんはこう思ったんだ。色々な考え方があるね!」
・「あなたなら大丈夫!」と伝える
〇「あなたなら大丈夫!こんなに頑張っているんだから!」
Point▽
・自信を持たせる声掛けをする
・答えは一つではない、色々な考え方があることを伝える
●自分を表現することが苦手!口下手タイプ
口下手な原因として、三つ考えられます。
②表現する機会がほとんどない
③言葉を吸収している時期
①「自分に自信がない」場合
引っ込み思案タイプと同じ対処法でOKです。
②「表現する機会がほとんどない」場合
親が子どもの意見を代弁しすぎているかもしれません。
子どもに、自分の考えを話してもらうようにするとよいです。
今日から、声掛けを変えてみましょう。
〇「あなたはどう思う?」「考えたこと教えて」
また、子どもが話しかけようとしたときに、
「忙しいから後にして」「今それどころじゃないでしょ」と伝えてしまっている場合もあります。
子どもの話をゆっくり聴ける時ばかりではありませんが、そういう時は、このように伝えてみましょう。
時計の長い針が12のところに来たら聴けるから、それまで待っていて」
③「言葉を吸収している時期」の場合
①②以外の場合は、「言葉を吸収している時期」と考えられます。
そのまま、たくさん言葉を伝えてあげてください。
〇たとえ子どもが話さなくても、たくさん話しかける
今は、「話す」ための「言葉」を一生懸命覚えているのかもしれません。
不安にならなくても大丈夫です。
どんと構えて、気長にたくさん話しかけてみましょう。
Point▽
・子どもの意見を聴く質問をする
・いつなら話せるのか伝える
・言葉を習得できるように、たくさん話しかけたり、お話を読んであげたりする
●人の話を聞かない!自分勝手タイプ
このタイプは、視野がまだ広がっておらず、自分だけの世界にいます。
つまり、誰がどう言おうが、自分のことだけを考えているので、お構いなしなのです。
対策は、声掛けではありません。
指先調整能力をつけることです。
一度、折り紙を四角に半分に折ってもらってみてください。
その時、「角と角をしっかり合わせてね」とお声がけをしてください。
きれいに折れましたか?
人の話がしっかり聴ける子は、「指先調整能力が高い」といえます。
なぜなら、日常生活の中で、「自分で自分のことをしている」「お手伝いを自分の役割として行っている」
ということをしていれば、自然と指先調整能力がつくからです。
つまり、「肉体的にも精神的にも『自立』ができている」のです。
自立ができていると、人のことに目や耳を向けることができます。
ですので、
人の話を聴かない=落ち着きがない=自立ができていない=指先調整能力が育っていない
ということになります。
逆に言うと、まず、指先調整能力を育てればよいのです。
まずは、
「ボタンを留める」
「靴紐を結ぶ」
「幼稚園に行く準備をする」など、
身の回りのことを自分でする、ということを徹底してください。
ただし、
「やりなさい!」と言うと逆効果です。
なぜなら、今はまだ指先の力がないので、できる力がない状態です。
「ゆっくりでいいから、やってみて!あなたならきっとできるよ!」と、
やり方を伝えて、自分でチャレンジしてもらうのです。
その時の声掛けは、怒らず、励ましてください。
そして、できてもできなくても、「頑張ったね!」と、たくさん褒めてあげてください。
自立を助けるとは、自立の仕方を伝えて、後は励まし、待つことです。
また、普段の遊びも、折り紙や塗り絵、切り絵、絵を描く、工作遊びなど、手が器用になる遊びをしてみてください。
このような遊びをしていると、驚くほど落ち着き、人の話が聴けるようになってきます。
それでも、こういった遊びを嫌がる子どももいるかもしれません。
そういうときは、幼児教室に通い、プロに任せてみるのもいいでしょう。
プロは、どういう声掛けをすれば指先調整能力が育つか、ということは、
様々な子どもを見ていて、経験として持っています。
子どもを自立に向かわせること、それが、結局は、コミュニケーションを取る基礎になります。
Point▽
・自分で自分のことをするように促す
・指先を使った遊びをする
・褒める
4.幼児期にコミュニケーション能力を育てるために
では最後に、
今回の本題である子どものコミュニケーション能力を育てるには具体的にどうしたら良いかをご紹介します。
●毎日、その日の出来事を話題にする
いざ子どもとコミュニケーションをとるといっても困る方も多いと思いますが、
話題は幼稚園や保育園であった日々の出来事で構いません。
これなら、些細なことから行事などのイベントまでジャンルもさまざまで話題が尽きませんし、
子どもにも身近で話しやすい内容です。
さらに、こういった身近な話題は内容の理解がしやすく伝えやすいので、コミュニケーション能力を身につけるために最適です。
●子どもと会話するときのポイント
・リアクションをとる
幼児期の子どもは言語能力が低いため、それを補うために親の表情をよく見ています。
そのため、話の内容にあわせて「大きく頷く」や「表情を顔に出す」など、
少し大げさなくらいにリアクションをとることで、非言語コミュニケーションをとるようにすると良いでしょう。
・子どもの話を最後まで聞く
幼児期は語彙量が少ないため頭の中の考えを上手く表現することができないので、話がたどたどしくなります。
このとき、親が先回りして結論を言ったりして途中で話を切っていませんか?
これでは、子どもの『伝える力』が育ちません。
言葉が出てこないときは、少し待ってあげたり、「〇〇ということ?」と問いかけてあげたりして、
できるだけ子どもが最後まで自分の考えを言葉にして伝えられるようにしてあげましょう。
・子どもに質問形で投げかける
人は誰しも、「これは〇〇ですか?」や「△△についてどう思う?」などと聞かれると、質問に対して答えます。
これは、子どもとの会話でも一緒です。
「今日の幼稚園は楽しかった?」や
「今日、保育園での給食は何だった?」など簡単な話題から入り、
子どもの様子を見ながら、
「じゃあ、明日の準備は何が必要なのかな?」や
「〇〇くんは、その時どんな気持ちだったのかな?」など
少しずつ考える質問も織り交ぜていくと良いでしょう。
Point▽
会話を繋げることで、『理解する力』と『伝える力』を身につける練習になる
コミュニケーション能力は、あくまでも『理解する力』と『伝える力』です。
この2つが身につけば、冒頭にあった「口数が少ない」「明るくない」「内気である」などの理由は関係なく、
お友だちとも良好な関係を築くことができます。
まずは、家庭内のコミュニケーションから始めてみてはいかがでしょうか。
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