《幼児教室の講師が解説》大好き!ごっこ遊び。心の発達に良い? どうして?【コラム】

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心身ともに健やかに育ってほしい。

どの親御さんも持つ、自分の子どもへの願いですよね。
その「健やか」にもさまざまな想いがあるのが親心でもあります。
 
 できることなら様々な部分で秀でてほしい・・・
 好きなことを極められる力を持ってほしい・・・

 そして・・・・
 心も優しく、他人への思いやりを持った存在となってほしい・・・

など、想いと願いが尽きないのが親心の現実ではないでしょうか。
 
そしてお子さんの健やかな成長に欠かせないのは「遊び」です。

遊びにもたくさんの種類がありますが、心の健やかな成長の手助けとなる遊びのなかでも重要なものに「ごっこ遊び」があります。
 
今回は、「ごっこ遊び」のもつ効用について、その謎を解き明かしていきたいと思います。

ごっこ遊びの不思議、ぜひ最後までお読みください。
 

 

(1)ごっこ遊びは心の発達に重要なんです

子育てをしていると、遊びが子どもの発達を促していることに気づくことが多いのではないでしょうか。

気の向くままに好きなことをしている子どもたちの目は、キラキラ輝き、そこから生命と成長の輝きを感じます。
また、子どもたちが無我夢中になって遊んでいる姿をみると、楽しそうな様子と表情は私たち大人がどこかに忘れてしまったことを思い出させます。
 
子どもは、幼児期に身に着けるべき必要とされるものを、遊びを通し自然と体得していきます。
遊びは、子どもの多面的な能力を発展させる力を持っているといえます。
 
遊びと発達には深い関係があります。

心理学者ジャン・ピアジェはその著書『遊びの心理学』で発達段階と遊びの関係について述べています。
 

第一段階
機能遊び
感覚刺激や身体運動が目的となる遊びのこと
・身近にあるものを舐めたり、音が鳴ることがわかるとそれを押し続けてみる
第二段階
象徴遊び
模倣、見立て、ごっこなど空想を伴う遊びのこと
・子どもがままごとをしたり、電車ごっこやキャラクターに扮したりして遊ぶこと。この時期が子どもの遊びの黄金期といえる。
第三段階
ルール遊び
ルールのあるゲーム等の遊び。鬼ごっこやトランプ、またはそのメンバーで簡単な決まり事をして、それにのっとってするゲームなど。

 
上の表をみてわかるように、第二段階から他者があるからこそ模倣や見立てが生じる、つまり他者とのかかわりのなかで、自分を確立することで自己認識もしていくことにつながっていきます。
 
つまりこの第二段階に象徴されるごっこ遊びには、言葉の発達、認知・社会的発達、情緒的発達を促す要素が含まれています。

ご家庭でのお母さまや、他の家族の様子を観察し、家族ごっことして遊んだりすることも多いと思いますが、これらは家庭の観察や模倣をしようという観察眼が育ってくることにより、ごっこ遊びが成立するわけです。

つまりお母さまなり、他の家族なりの「ふり」が行えることは、子どもの頭の中でその模倣対象のイメージ(表象)を思い描くことができていることです。さらに即時ではなく、別の時に模倣していることを遅延模倣といいます。記憶を頭の中で定着し、それを再現していることにつながっているといえましょう。
 
また、積み木やブロックを電車に見立てて、「ガタンガタン」と言いながら遊んだり、他の箱などを駅に見立てて停車したりする電車遊びも、ごっこ遊びの1つです。こちらは情景を模倣するものと、それらを俯瞰して操作する視点が育ってきていることがわかります。

これらは「体験を再現」することと言えます。
 
さらに5歳くらいから、ごっこ遊びのなかにストーリー性を持たせた遊びとなっていきます。先ほど述べた現実の生活の模倣ではなく、空想の翼がどんどん拡がっていきます。

嘘と現実の境界が曖昧となっているのではなく、空想のなかに自分を置くことができるようになっているといえましょう。そしてお友だちと一緒に役割分担をしながらその空想の世界で自由自在に遊べるごっこ遊び、子どもにとってとても素敵な時間となっていることがわかります。

 
 

(2)ごっこ遊びのメリットとは?

  

  

①心の発達に不可欠なごっこ遊び

ごっこ遊びをするなかで、みなさんのお子さんが「自分はこの役割をやりたいわけではなかった」や、「いつも〇〇ちゃんはこの役割をやりたがる」というような悩みを持たれるかもしれません。
 
子どもたちのやり取りをみていても、「私はそれをやりたくない」「私もこれがやりたかったのに」と涙目になりながらぐっとこらえている姿を見かけることもあります。

そのようなやりとりのなかで自己主張をすることの必要性や、相手の立場にたってものを考える、などの「心の理論」を学んでいきます。
一緒に遊ぶなかで他人の心の動きがわかったり、気もちを共有したり、お友だちが考えていることが自分と違うということに気づき理解する経験につながります。
 
ここから人への思いやりの心が生まれます。
 
「可愛い子には旅をさせよ」ではないですが、やはり経験を重ねることで互いの心を思いやられるようになったり、自分の気持ちを素直に表すことで伝わった喜びを感じられたり、ごっこ遊びをすることで心の発達を得られるということがおわかりいただけたのではないでしょうか。

  

  

②的確なおもちゃ選びを

となると、ごっこ遊びのために用意するおもちゃが必要!と思われますよね。

たとえば
「ままごと遊びセット」などは、あると便利かもしれません。
 
しかし、かならずしも様々なものを取り揃える必要性があるかどうか、は各ご家庭での判断となると思います。

公園でも、ジャングルジムなどを秘密基地に見立てて遊ぶことなどもあるのではないでしょうか。家の中でも同じです。必ずしもおもちゃが無いと遊べないということではないですね。
 
子どもたちは、見立てて遊ぶこともとても上手です。

まさに 遊びの天才。
おもちゃを上手に利用しながらぜひ楽しく、ごっこ遊びにつなげられるような環境を整えてあげられると良いですね。
 
ままごと遊びセット

 
 

(3)ごっこ遊びへの大人の関わり方

「ママ、〇〇ごっこしよう」
「パパは〇〇をやって」

ごっこ遊びをしよう、したいとねだられたことはありませんか。
ごっこ遊びに参加しても、なかなかなり切れない自分に気づいたりしませんか。
 
その時は、ぜひ、童心に帰って心から一緒に楽しんでください。

同じ目線で遊んでみることで、子どもが何を考えて、どこの部分に着目して、どんな記憶を重要と考えているのかが、見えてきます。
 
そこから、子どもが持つ興味や視点について気づくことも多いでしょう。
親だから教え導く存在でいなければならない、ということもありません。

自分が子どもだったころの気持ちを思い出すことで、普段は気づかなかったお子さんの小さな気持ちの機微に気づくかもしれません。
 

①心の安定が、健やかな発達に

そしてもう一つ、なによりも子どもは周りの大人の笑顔が大好きです。
その笑顔を一緒に楽しむことだけでも、お子さんは安心して一緒に遊ぶことに喜びを見出すことができます。

お子さんが「心の安寧」を得られることで、安心感と心の健やかな成長の助けとなります。
心が安定している子どもは、その安定からめざましい様々な能力の伸びにつながります。

様々な遊びを通して、またそのなかでも役割分担をしながらお互いを思いやるごっこ遊びを家族を含め大人とも遊ぶことで、心の成長の一助となります。
勝負の決まるゲームをして家族で盛り上がることも大切ですが、勝ち負けの無いごっこ遊びをすることも、楽しく盛り上がります。

 

②子どもの視点・世界観を大切に

 
一緒にごっこ遊びをしていると、ついつい「こうしたほうが良いのでは?」とか、「このほうが効率的」と親が誘導してしまうことがあります。
 
でも、そこはぐっと我慢。お子さんが持つ世界観を尊重し、想像の世界のなかで自由に羽ばたけるように見守ってあげてください。お子さんのもつ世界観・視点を大切にすることが想像力を育んでいきます。

 
 

(4)ごっこ遊びを通して身につく社会性

 
そもそもごっこ遊びは、外の世界と触れ合うことで自然と発生していく遊びです。周りの世界を理解し、自分の枠組みのなかに入れ、模倣していく。それがごっこ遊びの1つの体系です。
 
子ども同士で遊びながら他人とのかかわり方も模倣し、役割分担をすることで小さな社会を学んでいきます。

それぞれの役割にルールが発生しながらごっこ遊びが進むわけですから、そのルールに従いながら遊ぶことで社会性を学ぶことに通じます。
 
逆に考えると、どのような社会性を身に着けているのかを、ごっこ遊びを通して推し量ることができるとも言えますね。

ですから、社会性を身に着けていくために、様々な経験を積むこと、その環境にお子さんを置くことがいかに大切なことかとご理解いただけるのではないでしょうか。
 

 
 

(5)一緒に楽しみましょう ごっこ遊び

 
ここまでごっこ遊びの効果などについて考えてきました。

ごっこ遊びはそのお子さんをとりまく環境の模倣であり、他者とのかかわりのなかから社会性がうまれていくことと、心(情緒)の発達にとても重要であることがわかります。

その他に、言葉の発達、認知機能の発達にも有用ですし、先ほど述べました模倣が成立するということ自体が高度な遊びといえましょう。
 
「真似ぶ=学ぶ」とも言われます。模倣する能力の高さと、見立てる力は、その後の学習につながる能力です。
 

そして子どもと関わるときは、そのごっこ遊びの世界観、空想世界や現実世界の模倣などの表現を理解することが重要です。

自分から発生したその世界観を周囲の大人が受け入れることは、子どもの自己の確立と受容は、子ども自身の心身の安定と自尊心を認められたという安心を得られます。
 

このような遊びを通して、子どもは人間としての情緒交流や、活動の交流をはかり、心の理論を確立し構築し、主張すべきところは主張しよう、譲るべきところは譲ろうという自己主張のあり方を学習していきます。
 

大人は、完璧な存在ではありません。
しかし、子どもからみると大きな存在であり、その大きな存在からごっこ遊びを通して受け入れられ、一緒に楽しむことで健やかな成長につながります。

 
私たち大人は、気負うことなく、自然体で、しかし配慮すべきところをきちんと押さえてごっこ遊びをいっしょに楽しんで、お子さんの成長の一助としていきましょう。

 

参考文献・ホームページ等
・小野寺敦子『手にとるように発達心理学がわかる本』かんき出版
・ひがしすみだカウンセリングルーム コラム 子どもの発達における遊びの意義
・こころの科学 認知的な発達心理学

 

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Writer:はまキッズ
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