【コラム】3歳の記憶力とは?3歳から記憶力を伸ばす取り組みについても紹介

「3歳になってから数字やアルファベットを覚えた」「好きなキャラクターの名前を全部言える」など、子どもの記憶力の伸びに驚いているお父さん、お母さんもいるのではないでしょうか。せっかくであれば、子どもの記憶力をこのまますくすくと伸ばしていきたいですよね。
学習面だけではなく人生において記憶力はなくてはならないもの。成長してからも高い記憶力を持つために、3歳から始めたい具体的な取り組みを紹介します。
(1)3歳児の記憶力について
1.3歳児の記憶力はどのくらい?
2.3歳児ってこんな時期
(2)3歳から記憶力を育てるために知っておきたい記憶の種類
1.心理学における記憶の分類
2.記憶の内容による分類
3.右脳と左脳
4.ワーキングメモリー(作業記憶)と展望的記憶(予定記憶)
(5)3歳から記憶力を伸ばす取り組みとは
1.会話をはじめコミュニケーションをたっぷりと
2.絵本の読み聞かせをする
3.感情を動かす体験をする
4.覚えたことをアウトプットさせる
5.記憶力につながるゲームを取り入れる
6.好きなことを深めるサポートをする
7.視覚や触覚で情報を与える
8.生活習慣を整える
(6)まとめ
(1)3歳児の記憶力について
3歳児の記憶力はどのくらい?
3歳の記憶力について、まずは一般的な基準を知っておきましょう。また、語彙数と記憶力の関連についても紹介していきます。
3歳児の記憶力の発達
2歳以前と比較すると、3歳の記憶力はぐんとアップ。例えば、以下のようなことができるようになります。
・2,3語であれば、言われた言葉を記憶して繰り返すことができる(例/おかし、ごはん、おちゃなど)
・物の位置を当てる(例/いくつかの紙コップの一つにブロックを隠すのを見せると、どれに入っているか当てられる)
・繰り返し読み聞かせてもらう絵本のイラスト、登場人物などを覚える
ただ、この時期は成長の個人差が大きく、集中力も十分ではないため、上記のようなことができなくてもすぐに心配する必要はありません。
3歳児の語彙数について
3歳は、「茶色い犬いる」といった3語文から、4語以上を組み合わせる多語文へと移り変わる時期。大人ともスムーズに意思疎通ができるようになります。使える語彙は約1500~1700語。「なぜ」「どうして」といった質問も増え、「なぜなぜ期」に入る子どもも。
同年齢と比較して言葉数が少ないと、「うちの子は記憶力が低いのか」と心配になるかもしれませんが、言葉を話すのは記憶力だけの問題ではありません。子どもの中でアウトプットの準備ができればよく話すようになるケースもあるので、まずは言葉によるコミュニケーションを十分にはかりましょう。
3歳児ってこんな時期
記憶力は、心身の発達とも関連しています。3歳児の主な発達段階を確認しておきましょう。
運動面の発達
3歳になると、三輪車を漕いだりケンケンをしたり、ボールを蹴ったりと、体全体を使った動きも得意になってきます。体全体の筋力がアップすることにより、重心がぐらつかずにバランスを保って動くことができるようになるのです。
手先の器用さもアップ。道具を使った工作や、ブロックを組み合わせるなど手先を使うおもちゃも楽しめるようになります。
行動範囲が広がり、できることも増える時期。初めての体験や自分でできたという経験など、日々の刺激が記憶を形作っていきます。
知能面の発達
数やものの形、色、大小などに興味を持つように。興味に合わせて適切に教えてあげると、簡単な数字が数えられたり、三角や四角などの形を覚えたりと、どんどん吸収していきます。
社会性の発達
ほとんどの子どもが幼稚園、保育園に入り、友だちや先生と接する中で徐々に社会性が身につきます。友だちに興味を持ち、一緒に遊ぶなど積極的に関わろうとする様子が見られるように。まだ自分本位なところも大きいですが、友だちとぶつかり合う中で、人付き合いのルールやマナーを覚えていきます。

(2)3歳から記憶力を育てるために知っておきたい記憶の種類
心理学における記憶の分類
記憶が保持される時間を基準に、心理学では記憶を3つのカテゴリーに分けています。
感覚記憶
感覚記憶とは、視覚や聴覚など五感で感じ取った刺激を1~2秒のごく短時間記憶しておくというもの。わたしたちは覚えようと思っていなくても、すれ違った人の大体の雰囲気や聞こえてくる音をその瞬間ごとに記憶しています。ほとんどの感覚記憶はすぐに忘却されますが、「知っている人だった」「懐かしいメロディーだった」など「保存すべき記憶」と判断されたものは、もっと長く記憶に残るように処理されます。
短期記憶
短期記憶は、電話で聞いた相手の番号をメモに取るまで覚えておく、黒板に書かれた文字をノートに写すまで記憶しておく、といった短時間の記憶です。短期記憶は多くても5~7個ほどしか覚えられないとされ、放っておくと1分以内に忘れてしまいます。覚えておきたいのであれば、繰り返し復唱するなどして記憶に定着させて行くことが必要です。
長期記憶
自分の電話番号や住所、子どもの頃の印象的な思い出や離れて暮らす家族の顔など、何年たっても思い出せるのが長期記憶です。短期記憶は、別のことに気を取られるとすぐに忘れてしまいますが、長期記憶は日常の動作に左右されず思い出すことができます。
人生の中で知識として生かすには、いつでも引き出せる長期記憶が重要に。短期記憶が定着するように、覚えるための工夫と反復が重要です。
記憶の内容による分類
自分の体験したことや勉強として覚えたことなど、記憶の内容によって分類する方法もあります。
エピソード記憶
「友だちと公園で遊んだ」「ママとお出かけした」など、自分の体験、思い出の記憶がエピソード記憶です。「覚えておこう」と意識しなくても、記憶に残りやすい特徴があります。
意味記憶
一方で、一般的な知識に関する記憶は意味記憶と呼ばれます。言葉の意味や概念、文法、数式、歴史上で起こった出来事など、学校で学ぶ内容はほとんどが意味記憶に当たります。
手続き記憶
自転車に乗る、箸を使う、楽器を演奏するなど、一度覚えたら無意識でもできるようになる動作の記憶を手続き記憶といいます。大人が何気なくできている動作も、幼児にとっては初めてということも多いもの。幼児期は、さまざまな手続き記憶を獲得する時期でもあります。
右脳と左脳
脳には右脳と左脳がありますが、記憶に関してそれぞれが異なる役割を持つとされています。
右脳のはたらき
右脳は左脳よりも多くの情報を記憶し、長期間の記憶に長けていると言われています。特に見たことのある景色など空間に関する記録や、楽しかった思い出など感情を伴う記録、絵や映像に関する記録などをつかさどっていると考えられています。
イラストや言葉を写真のように記憶することができる子どももいますが、それは主に右脳の働きによるものと考えられます。
左脳のはたらき
左脳はパスワードや数字を覚えるなど一時的、短期的な記憶を担っています。また、情報を処理する能力に長けているので、ものごとを言葉や文章のつながりで論理的に記憶することが得意とされています。
就学後は学習の中で左脳を使うことが多くなります。逆に、見たものをそのまま記憶する、といった右脳の能力は、幼児期を過ぎるとだんだんと衰える傾向に。幼児期には、絵本を読んだり積み木であそんだりと特に右脳に刺激を与えることで、その後の記憶力や集中力、判断力などが高まると考えられます。
ワーキングメモリー(作業記憶)と展望的記憶(予定記憶)
人が目的を達成するために必要な記憶として、ワーキングメモリーと展望的記憶があります。ワーキングメモリーは作業記憶ともいわれるように、何かの作業をするために一時的に記憶を引き出し、処理する能力を指します。例えばプロジェクトを遂行するため、メンバーの確保やスケジュール、ダンドリなどを考えるときに使われます。
一方で、未来の予定のために使われるのが展望的記憶(予定記憶)です。「明日の3時に友だちと駅で合う」といった予定を覚えているから、私たちは社会的な生活が営めるといえます。
幼児はいずれも成長途中ですが、経験を通して徐々にその力を身に付けていきます。

(3)「暗記」と「記憶」の違いとは
(4)「記憶力」だけではなく「理解力」も必要
ただ、理解力をアップさせるためにはベースとなる知識や経験が必要であり、それは記憶力が大きく関係します。子どもの記憶力を伸ばしつつ、それを使って自らの力で問題を考え、答えを導きだす習慣を身に付けられるといいでしょう。
(5)3歳から記憶力を伸ばす取り組みとは
会話をはじめコミュニケーションをたっぷりと
子どもが情報を得て、記憶する基本は親子のコミュニケーションです。動画などではなく、親子で双方向の会話をすることで、子どもは多くの言葉を学び、覚えます。
「きちんとした言葉遣いを」と神経質になる必要はまだありません。「ワンワン」「ブーブー」などのオノマトペの方が、子どもは言いやすく覚えやすいもの。しりとりなど言葉遊びを取り入れてみてもいいでしょう。
また、親子でいっしょに多彩な経験をすることもおすすめです。普段とは違う刺激と楽しい思い出は記憶に残りやすく、後々「楽しかったね」と振り返って思い出すきっかけにもなります。
絵本の読み聞かせをする
絵本は、言葉のインプットだけではなく鮮やかなイラストや楽しいストーリー、登場人物の感情を考えるなど子どもにとってさまざまな刺激があり、記憶に残りやすいもの。
母親や父親に寄り添って本を読むという体験自体が心地よく、あたたかな記憶として刻まれるでしょう。

感情を動かす体験をする
楽しい、うれしいといった感情を伴った体験は印象が強く、子どもの記憶に残りやすくなります。例えば動物が好きな子であれば、実際に動物園で自分の目で見て、その大きさや迫力に感動することで、体験が知識と結びつき、記憶として定着するのです。
子どもが好きなこと、楽しめる体験を取り入れつつ、関連した知識を教えてあげること。そうすれば、知的好奇心をさらに広げることができるでしょう。
覚えたことをアウトプットさせる
一度見聞きしただけでは、なかなか記憶は定着しないもの。インプットだけではなくアウトプットをすることで、記憶に残りやすくなります。例えば、何かを教えてあげたときは、少しあとで「これは何だった?」と質問して答えさせる、というのもアウトプットの一つの方法です。自分の言葉を自らの耳で聞くことで、より記憶しやすくなると言われています。
食事中や買い物中など、日常の中で関連したことがあればクイズにして、繰り返しアウトプットできるようにするのもいいですね。
記憶力につながるゲームを取り入れる
楽しみながら記憶力が高められるゲームもおすすめです。
神経衰弱
トランプの神経衰弱は、単純なルールなので子どももチャレンジしやすいゲームです。3歳児であれば、まずはカードを半分に減らすなど枚数を少なくして始めると覚えやすいでしょう。
ストーリーを作ってみる
例えば、ままごとのフライパンと人形を見せて、「この2つが出てくるお話を考えてみよう」など、ストーリーを作るのも楽しいゲームに。動物や身の回りの物の絵が描かれたカードを用意して、その中から登場人物を選んでもいいでしょう。
知っている単語から物語を発想することで、創造力も高まります。
好きなことを深めるサポートをする
記憶力を高めたいからといって、無理やり知育おもちゃであそばせたり、教材に取り組ませたりするのは逆効果に。いやいややったことは記憶に残りづらく、ただマイナスのイメージだけを与えてしまいます。
3歳頃は、学習というよりも子どもの好きなことを好奇心のままに深められるようサポートするのが大切です。お絵描きや人形遊び、電車や恐竜などなんでも構いません。自分から「知りたい」「もっとやりたい」と思ったことは印象が強く、記憶に残っていきます。
視覚や触覚で情報を与える
学生時代、先生が口頭で説明した内容は忘れたけれど、黒板に描いてくれた図や実験で触った物質の感触は覚えている、という経験もあるのでは。子どもも耳から聞く情報はサラッと忘れてしまいがちですが、手順をイラストで説明したり、数を積み木で表したりといった説明は覚えやすい傾向に。何かを記憶してほしいときには、視覚や触覚も活用した方法を考えてみましょう。
生活習慣を整える
実は、規則正しい生活や食習慣が記憶にも影響しています。
十分な睡眠時間の確保
寝ている間に記憶が定着する、ということはよく知られています。子どもも同様で、睡眠不足は記憶力が低下する原因に。3歳児の理想の睡眠時間は1日10~13時間。起きる時間から逆算して、早めに寝る習慣をつけることが大切です。
よく噛んで食べる
食習慣も記憶に影響します。というのも、噛むという動作は脳に刺激を与え、特に「記憶の指令塔」といわれる海馬や記憶をコントロールする働きを持つ前頭前野が活性化するとされているのです。適度な硬さの食事を、よく噛んで食べるように心がけるといいでしょう。

(1)まとめ
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