【コラム】子どもの能力の土台を作る!子どもの成長を促すために、3歳までにやるべきこと
「三つ子の魂百まで」。
昔から、幼いころに身につけた習性は生涯変わらない、といわれてきました。つまりは、「幼いころにどのようなことを身につけるかで、生涯が変わる」ともいえます。
特に、新生児から3歳までの間は脳や心身の成長が著しい時期。子どもの能力の土台が作られるこの時期に、親がどう関わるかは非常に重要なポイントになります。
子どもの成長を上手にうながすための日常の接し方、会話や遊びなど、3歳までに親がやるべきことをわかりやすくまとめました。
(1)3歳になるまでに育てたい力とは
1.0歳から3歳は脳の発達が著しい大切な時期
2.非認知能力の土台を作る
(2)日常生活のなかで子どもの成長を促す!
1.親子での会話
2.さまざまな遊び
3.読み聞かせ
4.あいさつ
(4)まとめ
(1)3歳になるまでに育てたい力とは
0歳から3歳は脳の発達が著しい大切な時期
人間の脳は、その8割が3歳までに完成するともいわれています。この章では、生後3カ月から時期ごとに脳の発達に基づいた接し方の主なポイントを紹介。親はわが子の成長を見逃さず、自ら伸びようとする力をサポートするように心がけましょう。
生後3~5カ月「できるだけそばにいて信頼関係の基礎をつくる」
赤ちゃんの目がはっきり見えるようになるのは生後3,4カ月。もちろん親の顔も認識するようになります。常に自分のそばにいて世話をしてくれる人に対し、特別な愛情や信頼を抱くようになります。これは「愛着形成」といわれ、自己肯定感や人への信頼感の基礎となる重要なもの。
愛着形成のためには、できるだけ赤ちゃんのそばにいて、抱っこなどのスキンシップや言葉をかけてあげることが大切です。ただ抱っこするだけではなく、赤ちゃんへ向けて話しかけるなど親からのアクションが脳の刺激になります。
例えば、授乳中にスマホを見てしまうという人もいるかもしれません。でも、なるべくスマホは置いて、赤ちゃんにほほえみかけたり歌を歌ってあげたりしてみてください。特に反応はなくても、親の言葉や声は脳にインプットされていきます。
5カ月ごろに人見知りを始める赤ちゃんも多いですが、これは、特定の人(親)と愛着形成ができた証拠なのです。
生後6カ月~1歳「豊かな表情を見せて感情・共感力をはぐくむ」
赤ちゃんは親の表情をとてもよく見ていて、生後6カ月ごろには、表情から「よい、悪い」を判断するようになってきます。「それは危ないから触ってはダメ!」と心配そうな顔で言うと、言葉の意味は分からなくても「いけないこと」と理解します。
親の表情を見るだけではなく、それをまねる様子も見られるでしょう。親がにっこりと笑うと、子どももニコニコ笑顔に。これは、「ミラーニューロン」といって対象を模倣する神経の働きによるもの。それは、表情だけではなく感情も模倣するとされています。
親が無関心、無表情、常にイライラしている、といった状態は要注意。親子でコミュニケーションを十分にとり、豊かな表情を見せてあげることで、子どももさまざまな感情と表情を学んでいくのです。親が子どもの表情をまねてみるのもいいでしょう。そうした中で、他者は自分とは違う感情を持つことを知り、それに共感する力が育っていきます。
1~2歳「たくさんの経験から知的好奇心を高める」
自我が芽生え、「自分でやってみたい」という気持ちが大きくなる1~2歳。親にべったりだったのが、広い世界に興味を抱くようになります。危ないことは避けなくてはなりませんが、やりたがることはできる範囲でやらせてあげるといいでしょう。
ものごとへの知的好奇心は、実際に経験することでより刺激されます。自分でやってみて知識を身につければ、新たな知的好奇心がはぐくまれ、世界がどんどんと広がっていくでしょう。
もちろんうまくいかないこともあります。しかし、失敗することもよい経験に。「成功するためにはどうしたらいいのか」と、自分なりに試行錯誤する習慣を身につけるきっかけとなります。
2~3歳「気持ちに寄り添い、自己肯定感を育てる」
「魔の2歳児」といわれるように、2~3歳はイヤイヤ期で親を困らせる時期。大変ですが、自我、自立心が健やかに育っているという証拠でもあります。
感情をつかさどる大脳旧皮質が大きく成長し、さまざまな感情を抱くようになりますが、まだ自分ではうまくコントロールできない状態。「~したい」「~はイヤ」とグズグズすることも。そんなとき「ダメといったらダメ!」というように、頭ごなしに叱ってしまうと、子どもの自信を削ぎ、判断力の成長を妨げるもとに。
まずは「~したかったんだね」「~はイヤなんだね」と、ひとりの人間の言動として尊重し、受け止めてあげましょう。そのうえで、できない理由を話したり、気持ちを切り替える声掛けをしたり、アプローチをしてみてください。
親が気持ちを受け止め、寄り添ってくれると感じられれば、子どもは自己肯定感を持つことができ、感情のコントロールも上達していきます。
非認知能力の土台を作る
3歳までに伸ばしたいものとして「非認知能力」もあげられます。非認知能力とは数値で測れない能力で、協調性や発想力、自制心、忍耐力、ものごとをやり遂げる力、などを指します。社会の中で必要な「生きる力」とも呼ぶべき非認知能力ですが、成長してから大きく伸ばすことは難しく、幼いうちに身につけたい能力として注目されています。
どのようにすればその非認知能力をはぐくめるのか、具体的に見ていきましょう。
信頼感と安心感を与える
親、家庭が子どもにとって信頼でき、安心できる場であれば、子どもの自己肯定感はふくらみ、自由に発想したり、ものごとにチャレンジしたりすることができます。
叱るときはき然として叱りつつ、子どもの気持ちに寄り添って、愛情を持った関わりや声掛けを常に心がけましょう。この時期、子どもが甘えたいときは、十分に甘えさせてあげること。「何があっても、親は愛してくれる」と確信できれば、安定した心でものごとに向きあうことができます。
子どもの主張や感情を否定しない
親から見ればただのわがままを言っていたり、大げさに泣いていたりするように見えることもあります。そんなときも、子どもの主張や感情を否定せず、受け入れてあげましょう。
そうすることで子どもは安心し、自らの力で感情をコントロールする自制心を持つことができるのです。
子どもの好奇心や興味を妨げない
0~3歳児は好奇心のかたまり。気になったことは自分で確かめようとし、そうすることで自らどんどんと新しい知識を吸収しているのです。コップの水をこぼしてみたり、ティッシュを箱から全部出してみたりと、ときに親にとっては困ることもありますね。
でも、すぐに「やっちゃダメでしょ!」と止めるのではなく、「子どもは今、知りたいという探求心のもと自ら学んでいる」と考えてみましょう。そして、危険でなければある程度おおらかな気持ちで見守ってあげるようにします。部屋が汚れて困る場合は、屋外やお風呂場でやらせてあげるなど、親のストレスにならないよう工夫するといいでしょう。
自分で確かめ、やり切った子どもの知的好奇心は満たされて、また次のステップへと進んでいくことができます。
(2)日常生活のなかで子どもの成長を促す!
親子での会話
最も大切なのは、親子のコミュニケーション。スキマ時間でもいいのでできるだけたくさん会話をするように心掛けましょう。話を聞き、思いを伝えることで信頼関係が築かれていきます。
子どもは会話の中から言葉を学んでいる、ということも忘れてはいけません。例えば、「あれを見て」と言うのではなく、「青いベンチの横にいる、大きな犬を見て」というように、なるべく具体的に話しかけるようにするとよいでしょう。まだうまく会話できないときは、見えるものの実況中継をしてあげるのもおすすめ。
2、3歳になると、「イヤイヤ」といったぐずりや「なぜ?」「なに?」などの疑問も増えてきます。親としては少し面倒、またはイライラしてしまうこともあるかもしれません。でも、なるべく子どもの気持ちに寄り添って、うまく気持ちを言葉にできないときは代弁してあげるといいですね。
何か小さなことでも成功したときはほめて、一緒に喜んであげることも大切です。そうすることで自己肯定感が育ち、ものごとへチャレンジする原動力となります。
さまざまな遊び
子どもにとって遊びはなによりの学び。楽しければ自分から進んでチャレンジします。0~3歳の発達に合わせて、おすすめの遊びを紹介します。
ごっご遊び
さまざまなシチュエーションになり切って遊ぶごっこ遊びは、豊かな想像力や表現力をはぐくみます。1歳ごろは、人形にご飯を食べさせる、保育園のお迎えに行くなど自身の日常を模倣した簡単なごっこ遊びが多いでしょう。そこから設定やシチュエーションがだんだんと複雑になって、子どもなりの世界観で遊ぶようになります。
親が遊んであげるときは、「今日のごはんは何かな?」「保育園のお迎えは自転車?歩いていく?」など、子どもがさらに想像力を広げられる声掛けをするとよいでしょう。
手指を使う遊び
手先を使うことは、脳に刺激を与えることが明らかになっています。特に屋内の遊びで取り入れやすいので意識してみましょう。
紙を丸めたりちぎったり、クレヨンで自由に絵を描かせたり、簡単にチャレンジできることから取り組んでみるといいですね。ほかにも積み木や折り紙、ひも通しなど、巧緻性(手先の器用さ)の発達度合いや興味に合わせて、手指を使う遊びを積極的に取り入れてみてください。
外遊び
思い切り外遊びを楽しむことは、子どもの体の成長にとって重要です。幼いうちは散歩や追いかけっこなど簡単な全身運動を。少し大きくなったら、公園の遊具で遊ぶのも楽しいですね。
歩く、走る、のぼる、ジャンプするなどの動きを通して、筋力や心肺機能を鍛え、体全体のバランス感覚を磨いていきます。また、のびのびと体を動かすことはストレス発散にもなり、子どもの心の健康にとってもとてもよいことなのです。
読み聞かせ
絵本の読み聞かせは、さまざまな面でプラスになります。日常であまり使わないものも含め多くの言葉のシャワーを浴びることで語彙力が向上。さらに、ストーリーを追うことで想像力や他者の感情を思いやる力が付きます。ひとつの話を最後まで聞くことで集中力の向上も期待できるでしょう。
子ども向けの本は、物語以外にも動物や植物、季節の行事や自然科学の本など知的好奇心を刺激するジャンルも多彩。図書館も利用して、多くの本に触れさせてあげるといいでしょう。
あいさつ
人とのコミュニケーションの基本となるあいさつも、3歳までに習慣づけたいこと。「ありがとう」「おはよう」といったあいさつがきちんとできることで友だちと仲よく遊べる、また人とつながるきっかけとなります。
とはいえ、3歳ではまだ恥ずかしくて自分から言い出せない子も。「言わなきゃダメでしょ!」と叱ると、余計に萎縮して言い出せなくなります。「こういう時はありがとうって言おうね」「近所の人にあったらおはようって言おうね」など、折々に声掛けをするようにしましょう。何より親が自らあいさつをする姿を見せていくことで、自然と子どももあいさつができるようになっていきます。
(3)3歳までは発達段階に合わせて子どもの成長を見守ろう
まずは子どもがどのようなことができるようになっているか、何に興味を持っているかを日々意識することから始めましょう。その発達の段階を見逃さず、適切な接し方や遊び方をサポートしてあげれば、子どもは自らの力でどんどんと成長していくはずです。
(4)まとめ
関連記事