【コラム】3歳児の特徴やチェックリストとは?3歳児健診についても解説します

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3歳は、保育園に行っていなかった子どもも幼稚園入学を迎え、ほとんどの子が集団生活に入る年齢です。親もほかの子どもに接する機会が増え、比較してわが子の成長が気になってくる、ということもあるでしょう。
今回紹介する一般的な3歳児の成長の特徴を知っておけば、判断の基準となります。目安となる発達のチェックリストも紹介。また、発育状況を調べる3歳児健診や発達障害についても解説していくので、参考にしてくださいね。
 

 

(1)3歳ごろの発達の目安とは?

3歳ごろの身長と体重

背の高さや体つきは目立つものなので、わが子が平均程度に成長しているのか気になるところですよね。厚生労働省の調査を見ると、3歳0カ月~12カ月の身長・体重の目安は次のように記されています(※)。

〈男子〉身長 88.8~105.8㎝  体重 11.72~18.82㎏
〈女子〉身長 87.7~104.5㎝  体重 11.04g~18.27㎏
 

しだいに筋肉も付き、身体のコントロールも上達。少し高い段から飛び降りる、ボールをキックする、片足でケンケンするなど体全体を使った動きが見られるようになります。
ダイナミックな動きだけではなく、手先の器用さも向上。ハサミで切る、鉛筆で丸を描くといったこともできるようになるでしょう。

(※)厚生労働省 乳幼児身体発育調査:調査の結果(平成22年度)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/73-22-01.pdf
 

3歳ごろの生活力の発達

生活力も向上し、身の回りのことの多くを自分でできるようになります。
 ・【衣服の着脱】ボタンやファスナーがついた服もひとりで着替えられる
 ・【食事】スプーン・フォークを使い、上手に一人で食べられる
 ・【排せつ】おむつを卒業し、トイレで排せつできるようになる

上記のようなことができれば、体操着に着替えたり、お弁当を食べたりトイレに行ったりという園生活も問題なく送れます。
もちろん、まだまだ完ぺきではありません。衣服を前後ろに着る、食事を食べこぼす、排せつもおもらしをしてしまうなど未熟な部分はありますが、徐々に少なくなっていくので、焦らず見守りましょう。
 

3歳ごろの心と言葉の発達

「悪魔の3歳児」といわれるように、3歳は親をてこずらせる「イヤイヤ期」に当たります。自我が発達し、自分の思い通りにしたいという思いがより一層強くなり、反抗という形で現れるのです。
3歳ごろには語彙がぐんと増えるので、中には、一丁前に口答えをするようになる子も。それまでは三語文でたどたどしく話していたのが、「てにをは」などの助詞、「でも」「それで」といった接続詞も交えて会話をするようになります。朝起きたら「おはよう」、何かをもらったら「ありがとう」など、あいさつも身についてくるでしょう。
とはいえ、まだうまく言葉にできないことも多く、もどかしい思いが「イヤイヤ」と重なってかんしゃくを起こすことも。心と言葉の成長の一つのステップと考えて、寛容に受け止めましょう。
 

3歳ごろのコミュニケーション力

公園や幼稚園など子どもたちが大勢集まると、ほかの子どもの遊びに注目し、近寄っていく様子が見られるでしょう。3歳ごろは、同年代の子どもに興味津々なのです。
とはいえ、いきなり一緒に仲よく遊べるのではなく、そばにいても別々に遊ぶという「並行遊び」から始まります。そのうちに、おもちゃを共有したり、遊びをまねしたり、ケンカをしたりしながら、友だちとのコミュニケーションの仕方を学んでいきます。そうして、少しずつ一緒に遊べるようになっていくのです。
「友だちの嫌がることをしない」「順番を守る」など社会のルールも、教えられながら身につけていきます。
 

 

はまキッズオルパスクラブの発達チェックリスト

発達の分野 具体例
【身体的な発達】 ☐ 速度を調整しながら、走る

☐ 急に曲がったり、止まることができる

☐ でんぐり返りができる

【図形と指先能力
の発達】

☐ 道具を上手に使える

☐ 親指・人差し指・赤指の三点支持でペンを持つ

☐ 袖を引っ張って服を脱ぐ

☐ ハサミで、紙のイメージ切りをする

【知力の発達】 ☐ 大人の言葉がけで、早い・遅いが調整できる

☐ 危険に対して、経験上のことは判断できる

☐ 色紙を折り、色々なイメージを結びつけ意味づけをする

【言語能力の発達】

☐ 顔の部分が言える

☐ 友達との簡単な会話が活発になる

☐ 簡単な伝言ができる

☐ 疑問に思ったことは、繰り返し聞く

☐ 気持ちのコントロールができ始める

 
 

 

(2)3歳児健診とは?

3歳児の成長を確認する機会として、すべての子どもが受けられるのが「3歳児健康診査」です。「母子保護法」に基づき、各自治体で無料で実施されています。わが子の発達を客観的に見てもらえるのはありがたいものの、「どんなことを検査されるのか」「うちの子はきちんとできるのか」など不安を抱える保護者もいるよう。その目的や時期、チェックポイントなどを改めて確認しておき、落ち着いて健診を迎えましょう。
 

3歳児健診の目的

厚生労働省によると、3歳児健診の目的は以下のとおりとされています。(※)
「幼児期において幼児の健康・発達の個人的差異が比較的明らかになり、保健、医療による対応の有無が、その後の成長に影響を及ぼす3歳児のすべてに対して健康診査を行い、視覚、聴覚、運動、発達等の心身障害、その他疾病及び異常を早期に発見し、適切な指導を行い、心身障害の進行を未然に防止するとともに、う蝕の予防、発育、栄養、生活習慣、その他育児に関する指導を行い、もって幼児の健康の保持及び増進を図ることを目的とする」

つまりは、3歳は発達の差がはっきりとしてくる時期。それまでは「個人差か障害か」わからなかった心身の発達の問題も次第にクリアになってきます。この時期に適切な指導、対応を始めることで障害の進行を防ぎ、健やかな成長につなげよう、というものです。
(※)厚生労働省「乳幼児に対する健康診査の実施について」
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta9663&dataType=1&pageNo=1
 

3歳児健診の行われる時期

3歳児健診は、母子保健法第12条にあるとおり、「満3歳を超え満4歳に達しない幼児」が対象です。とはいえ、その1年間であればいつでも受けられるのかというとそうではありません。大体の自治体が集団検診になるので、通知書類によって定められた実施日が知らされてきます
3歳の誕生日の前日から受けられるところもあれば、「3歳半健診」を基本として案内がとどくところも。基本的に平日の実施が多いようなので、早めに知っておきたいのであれば自治体のウェブサイトで確認する、もしくは担当部署に問い合わせるといいでしょう。
都合が悪ければ日程調整をしてもらえるところが多いようです。
 

3歳児健診の内容

具体的に、3歳児健診ではどのようなことが行われるのでしょうか。子ども家庭庁の資料(※)によると、以下の内容を診察することとなっています。

【健診内容】
① 身体発育状況
② 栄養状態
③ 脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無
④ 皮膚の疾病の有無
⑤ 眼の疾病及び異常の有無
⑥ 耳、鼻及び咽頭の疾病及び異常の有無
⑦ 歯及び口腔の疾病及び異常の有無
⑧ 四肢運動障害の有無
⑨ 精神発達の状況
⑩ 言語障害の有無
⑪ 予防接種の実施状況
⑫ 育児上問題となる事項
⑬ その他の疾病及び異常の有無

体重・身長測定や内科検診など大人の健康診断と同様の部分もありますが、3歳児健診ならではの問診も。また、自宅で事前にやっておかねばならない検査もあるので、心構えをしておくと焦らずにすむでしょう。

 

 

3歳児健診で行われる問診とは?

上記の健診内容の⑨精神発達の状況⑩言語障害の有無の確認において、問診が取り入れられることが多いようです。医師やスタッフが子どもに直接質問をするので、親は基本的にそばで見守ります。
質問例としては、
「お名前は?」
「何歳ですか?」
「どちらが大きい?」(大小2つの絵を見せて)
など。相手の言うことを理解できているか、それに対して言葉として答えられるかを見ているわけです。
自治体によっては、「〇と×を描いてみて」と実際やらせてみたり、遊んでいる様子を観察したりすることも。
 

自宅で行う検査・準備も

事前に自宅で行わねばならない検査もあります。視覚・聴覚については、親が調べておくという自治体も多いよう。視力は通知書類に同封された検査キット(輪っかの一部が切れたランドルト環)を使用するのですが、3歳なので1度でうまくいくとは限りません。健診日の直前ではなく、早めにチャレンジしてみるのがいいでしょう。検尿のための尿も、子どもによってはおむつを絞って採集するなど大人と同様にはいかないので、当日朝に焦らないようやり方を確認しておきましょう。
発達を確認する問診表の記入も必要です。問診票でチェックする内容例は幅広く、栄養状態、精神発達、四肢の発達、予防接種の有無など。
具体例としては、

 □片足でケンケンをするか
 □手を使わずに階段をのぼれるか
 □着替えが一人でできるか
 □ごっこ遊びができるか
 □母親や家族が近くにいれば、離れて遊べるか
 □落ち着きがなく、集中できないことはあるか
 □なぜ、だれなどよく質問して会話をするか

このような質問が並びます。ただ、これらの項目でできないことがあれば発達に問題がある、と断定されるわけではありません。受診が必要かは健診において医師や専門家が判断するため、普段の様子をありのままに正確に答えることが大切です。
 
(※)子ども家庭庁「乳幼児健診について」
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/ce28e632-7504-4f83-86e7-7e0706090e3f/5a476375/20231122_councils_shingikai_seiiku_iryou_tWs1V94m_07.pdf
 

 

(3)健診結果により発達障害が疑われる場合も

事前の問診票の内容や健診当日の子どもの反応により、「発達障害の可能性がある」と告げられる場合もあります。
 

そもそも発達障害とは

発達障害とは、「生まれつき脳機能の発達に問題が生じていて、日常生活において支障がある状態」とされています。
主な特性としては以下のようなものがあげられます。

【自閉症スペクトラム】
 ・人の感情を理解するのが難しく、特定の物や文字・図形などに強い関心を持つ
 ・「いつもどおり」のパターンから外れて、慣れない状況になると強い不安に襲われる など
 【学習障害】
 ・読み・書き・計算のうちいずれかの習得、活用が非常に困難で、学習において支障をきたす など

 【注意欠陥多動性障害】
 ・集中力が続かずじっとしていられない
 ・衝動的に行動し、すぐカッとなる など
 
いずれも後天的な病気ではなく、生まれ持った性質です。「発達障害の可能性がある」と言われても、「自分の育て方が悪かったのでは」と思う必要はないのです。
 

早期発見、早期治療や支援が重要

発達障害の可能性を告げられたら、親としては悲観的になってしまうかもしれません。ただ、3歳児健診の結果は確定ではありません。早期に専門家に見てもらうなど、適切な対応を取ることで、子どもに合った発達支援を促すものだと理解しておきましょう。
具体的に、発達障害の可能性がある場合の対応法を紹介します。
 

経過観察を受ける

「経過観察」となった場合は、保健師が家庭訪問を行い、子どもの普段の様子を見てどのように関わっていけばいいのかの助言をしてくれる自治体もあります。改めて専門医の受診を案内されるところも。
また、家庭で行う療育「ペアレント・トレーニング」についての説明会への参加を進められることもあります。いずれも、案内があった場合は利用するといいでしょう。
 

かかりつけの小児科に相談する

健診の場は大勢の子どもがいて、知らない大人もたくさん。緊張や興奮のあまりうまく答えられず、発達障害を疑われてしまう可能性もあります。
いつもわが子を診察しているかかりつけの小児科医がいるのであれば、一度相談してみるといいでしょう。独自に健診を行ってくれる医院もあります。
 

専門医に診てもらう

少しでも不安があるのであれば、早めに発達障害の専門医を受診しましょう。早期に障害が見つかれば、それだけ早く適切な治療や療育がスタートできます。それにより、日常生活における困難を軽くし、発達障害の二次障害(うつや不登校)を予防することができるとされています。
 

 

(4)まとめ

心も体の発達が次第に明らかになってくる3歳児。3歳児健診はそれらを確認する大切な機会です。発達障害だけではなく、運動機能や目、耳などの検査結果で「さらなる受診が必要」となるケースもあります。親としてはショックかもしれませんが、早期に正しく状態を把握して、必要な治療や対処法を知ることがもっとも重要なのです。そうすることで、その後の子どものよりよい育ちにつながっていきます。
 

 

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Writer:幼児教室はまキッズ灘中合格者数日本一の実績を持つ浜学園が運営する能力開発型の幼児教室。保護者同室・少人数制の授業で、高い思考力と社会性を養成します。対象学年は3歳~小2生。

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