【コラム】3歳児の睡眠時間は?よりよい睡眠のコツとともに解説します
成長に従って、睡眠サイクルが変化してくる3歳児。体力が付き、お昼寝をしなくても夜まで元気、といった子どもも多くなります。そうなると親としては、わが子の睡眠時間が十分に足りているのか気になるところですよね。昨今では、幼児を含め子どもの睡眠時間が短くなっていることが問題視されています。
そこで今回は、3歳児の理想的な睡眠時間について解説します。よい眠りを得るためのコツも紹介。「子どもが夜なかなか眠らない」と困っている人は、ぜひ参考にしてくださいね。
(1)年齢別にチェック!子どもの理想的な睡眠時間とは
1.生後0~3カ月
2.生後4~11カ月
3.1~2歳
4.3~5歳
5.小学生
6.3歳の1日の理想の睡眠時間とは
(2)睡眠不足が招くさまざまな症状
1.日中の眠気や集中力の低下を招く
2.認知機能が低下する
3.情緒が不安定になる
(4)子どもの睡眠時間を十分に確保するよい眠りのコツ
1.起きる時刻、床につく時刻を決める
2.朝の太陽光を浴びる
3.朝ご飯を食べる
4.お昼寝を長くしすぎない
5.寝る前のテレビやゲームはやめる
6.お風呂は寝る1~2時間くらい前に入る
7.寝る前の決まりごとを作る
8.部屋を暗くして眠りへいざなう
(5)まとめ
(1)年齢別にチェック!子どもの理想的な睡眠時間とは
生後0~3カ月
生後0~3カ月の理想の睡眠時間は14~17時間。
2~3時間おきに寝たり起きたりを繰り返す乳児期。昼間はほとんど寝ていると思ったら、夜にまったく寝ないという昼夜逆転が起こる赤ちゃんもいます。「朝起きて夜眠る」という睡眠のリズムがまだ整っていない状態です。
生後4~11カ月
生後4~11カ月の理想の睡眠時間は12~16時間。
少しずつ睡眠のリズムが整ってきて、4カ月を過ぎると夜にまとまって眠る赤ちゃんも。活動時間が長くなりますが、まだ御前睡(朝寝)、お昼寝をたっぷりとる時期。起床・就寝だけではなく、御前睡やお昼寝もできるだけ決まった時間にさせるようにし、生活リズムを作っていきましょう。
1~2歳
1~2歳の理想の睡眠時間は11~14時間。
御前睡がなくなり、お昼寝だけという子どもが増えてきます。朝、昼、晩と三食をしっかりとることで体内リズムを整えましょう。運動能力がアップし、歩いたり走ったりジャンプしたりと、一日中動き回る体力が付くころ。夜は十分に睡眠を取ることが必要です。
3~5歳
3~5歳の理想の睡眠時間は10~13時間。
幼稚園の入学に合わせて3歳ごろにはお昼寝を卒業する子も少なくありません。昼間たっぷり活動しても、夜まで起きていられるようになります。小学校入学に向けて、早寝早起きの習慣をつけていきましょう。
小学生
小学生の理想の睡眠時間は9~12時間。
小学生になると、勉強や習い事とやることが増え、どうしても睡眠時間が短くなりがちに。しかし、この年齢でも9~12時間は眠ることが推奨されています。低学年の間は午後8~9時、中・高学年になっても午後9~10時頃には就寝するようにし、健やかな成長を促しましょう。
3歳の1日の理想の睡眠時間とは
上記にあるとおり、3歳児だと10~13時間が理想の睡眠時間。できれば13時間近く睡眠を取れるといいでしょう。
ただ、睡眠リズムは子どもそれぞれに異なります。3歳だとまだお昼寝が必須な子どももいればまったく取らない子どももいます。子どもが13時間寝られていないからと言って必ずしもあせる必要はありません。しかし、過度な睡眠不足は子どもに悪影響を及ぼすことがあるのも事実。
その具体的な症状について、次に解説します。
(※)厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針の改定について(案)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001151834.pdf
(2)睡眠不足が招くさまざまな症状
「子どもの睡眠時間を国際的に比較した結果では、日本の子どもは最も短い方になっていました」とあり、「睡眠が短いことによる影響が懸念される」と記載されています。
では、睡眠不足によりどのような症状が現れるのか、厚生労働省による研究成果(※2)も参考に見ていきましょう。
日中の眠気や集中力の低下を招く
前日によく寝ていないと翌日の仕事に集中できない、ということが大人でもありますね。子どもも睡眠が足りていないと昼間に眠気をもよおし、勉強などに集中できなくなります。欧米においては、学校の始業時間を遅くして子どもたちの睡眠時間を確保できるようにしたところ、成績向上、欠席の減少などよい結果につながったという例もあります。
認知機能が低下する
高齢者において、睡眠時間が短かったり質が低下したりすることが認知機能の低下をまねくのは研究により知られています。子どもも同様で、睡眠不足が続くことにより、「注意する」「記憶する」「言語を理解する」「五感を働かせものごとをとらえる」「推論・判断する」などの認知能力が育ちにくくなってしまう恐れがあります。
情緒が不安定になる
特に理由はないのにイライラしている、毎日朝からぐずっている、落ち着きがない、すぐに自信をなくして落ち込む…。そんな精神状態が見られる子どもは、寝不足かもしれません。睡眠が十分にとれていないことで体内のリズムがくるってしまい、精神の不調を引き起こしているのです。情緒不安定で発達障害と思われていたけれど、早寝早起き、そして朝ごはんを取るようにしたことで行動が改善した、という子どもの例もあります。
(※1)環境省「エコチル調査5周年記念シンポジウム開催」
https://www.env.go.jp/chemi/ceh/data/ecochil-news10.pdf
(※2)厚生労働科学研究成果データベース「睡眠 資料 A ガイドライン 239 睡眠障害とは」
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2018/182091/201817024B_upload/201817024B0015.pdf
(3)睡眠と脳の発達・学力の関係
「幼児期は深いノンレム睡眠が多いことが際立った特徴で、この時期に熟睡し、ノンレム睡眠を増やすことが成長ホルモンの分泌を促進し、健全な精神・身体の育成につながっていく。したがって、幼児期に夜更かしを続けることは脳や身体の発育途中にある乳幼児に悪い影響を及ぼすと考えられる」
とのこと。脳の発達を妨げるということは、学力の成長にも影響します。実際、アメリカの調査では「睡眠時間が短い子、就寝時間が遅い子ほど学業成績が悪い」という結果が出ているそう。東大生は幼いころから早寝早起きだった人が多い、とも聞きます。「寝る子は学力も育つ」ということが言えるでしょう。
学力のみならず、スポーツや芸術分野の技能アップにおいても睡眠は大切です。子どもの睡眠不足を放っておくと、伸びていくはずの可能性の芽をつぶしかねません。幼児期から正しい睡眠習慣を身につけさせることが重要なのです。
(※)大川匡子「子どもの睡眠と脳の発達 -睡眠不足と夜型社会の影響-」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tits/15/4/15_4_4_34/_pdf
(4)子どもの睡眠時間を十分に確保するよい眠りのコツ
起きる時刻、床につく時刻を決める
毎日決まった時間に起き、就寝するようにしましょう。日々バラバラだと体内時計がくるって、良質な睡眠がとれなくなります。それをリセットできるのは朝のみ。前日寝るのが遅かったとしても、いつまでも寝かせずに起こすようにしましょう。
朝の太陽光を浴びる
人の体は、朝の太陽光を浴びることで睡眠ホルモンであるメラトニンが抑制され、すっきりと目覚められます。また、一日の最初に日光を浴びてから14~16時間後に眠くなるようなサイクルがあるそう。さわやかな目覚めと良質な眠りのために、起きたらすぐにカーテンを開けて朝の光を浴びましょう。
朝ご飯を食べる
毎日朝食を取ることで脳と体に刺激を与え、すっきりと目が覚めます。朝食が一日の始まりというメリハリを体に与えてくれるのです。特にごはんとみそ汁、焼き魚といった和食がおすすめ。睡眠ホルモンであるメラトニンのもととなる栄養素がバランスよく含まれています。
お昼寝を長くしすぎない
3歳であればまだ昼過ぎに眠くなってしまう子どももいます。ただ、お昼寝が長すぎると夜眠れない原因に。寝てしまった場合は、部屋を明るいままにして深く寝入らせないようにし、1時間ほどで起こすようにしましょう。できればお昼寝の時間は夕方ではなく、3時ごろまでに取れるといいですね。
寝る前のテレビやゲームはやめる
テレビやスマホの動画、ゲームは視覚と脳を刺激し、眠りにいざなうメラトニンを抑制してしまいます。眠る1時間前からは見せない、触らせないようにしましょう。
お風呂は寝る1~2時間くらい前に入る
眠りにつくときは体温が少し下がります。入浴直後だと体温が上がりすぎてすぐには眠れない場合も。就寝時間の1~2時間ほど前にはお風呂に入るようにしておくと、温まった体が徐々に冷めて、スムーズに眠りにつくことができます。
寝る前の決まりごとを作る
遊びモードから睡眠モードへのスイッチがうまくいかない子どもも。そんな場合は、「これをしたらお休み」という入眠儀式を取り入れるのがおすすめ。絵本を1冊読む、布団の中で今日のできごとを振り返る、静かな曲をBGMで流す、水を一口飲むなど。
お気に入りのぬいぐるみやおもちゃと離れがたいのであれば、何か一つ枕元に持っていくのもいいでしょう。ただし、遊ぶのではなく一緒に寝るお供、という役割です。子どもがリラックスして眠りの態勢に入れるようにしましょう。
部屋を暗くして眠りへいざなう
人は太陽が沈んで徐々に暗くなるにつれ、眠くなるようにできています。逆に、明るい光はメラトニンを抑制してしまいます。夕方を過ぎたら、部屋のライトを少し落として落ち着いた光に調整しましょう。暖色系の電球色がベターです。
寝室においては、真っ暗な状態が怖いようであれば低い位置に小さな常夜灯を付けるなどし、光が直接目に入らないように工夫を。
(5)まとめ
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