【コラム】2歳児が喋らない原因は?言葉の発達を促す関わり方のポイントは?

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「言葉の爆発期」ともいわれる1~2歳。周囲に上手にお話をする子が増えてくると、自分の子どもの言語発達が気になってきますよね。言葉の発達は個人差がありますが、いったいどのような原因で遅くなるのか、発達を促すにはどうすればよいのかなどを具体的に説明していきます。
 

 

(1)言葉の発達が遅くなる主な原因

言葉がなかなか出ない、上手に話せない、といったことの原因は大きく分けて3つ。先天的なものもあれば、後天的なものもあります。

1. 性格や発達の度合い

一つは生まれ持った性格。口数が少ない、無口な大人がいるように、あまり積極的に話さない子どももいます。でも、他の人のいうことを理解していて、その子のペースで話をしてあげるときちんと答えられるようであれば問題はありません。
また、言葉の発達スピードが早い子もいればゆっくりな子もいます。これも生まれ持った個性。話し始める段階に到達するのがゆっくりなだけかもしれません。特に男の子は遅い子が多いといわれています。こちらも、親のいうことをよく理解しているようであれば焦らず構えて見守りましょう。
 

2. コミュニケーションの機会の量

後天的な原因としては、家庭でのコミュニケーションの量が考えられます。子どもは、自分に話しかけられたことはもちろん、大人同士の会話を見聞きして言葉をインプットしていきます。核家族化や昨今の社会事情もあり、大人同士が活発に会話をするのを見る機会も減ってきています。
また、テレビや動画を見せすぎてコミュニケーションの時間が減っていることも。「動画を見ている間に家事を…」となる親御さんも多いでしょうし、ある程度は仕方ないものですが、長くなり過ぎないように工夫をしてみてください。例えば、掃除のとき子どもにも布を持たせ、「きれいにしてね」「ふきふき」などと話しながら家事を一緒に行うなど、言葉のやり取りが発生する状況を作るといいですね。
 

3.聴覚や先天的な病気

そもそも、言葉がうまく聞き取れていないと発語にもつながりません。子どもの背後からささやき声で名前を呼んだら振り向きますか。反応がない場合は耳の聞こえに問題がある可能性も。耳鼻科で検査を受けてみるのがおすすめです。
そのほか、自閉症などの発達障害を持つ子どもも言語発達が遅くなる傾向があります。人への興味が薄い、じっとしていられないなど言葉以外にも気になる兆候があれば、まずは専門家に相談してみましょう。
 

 

(2)言葉を話すまでのプロセス

子どもが言葉を話せるようになるまでには、いくつかのステップがあります。それぞれのステップで必要な力を身に付け、言葉を話す準備をしているのです。泣くことしかできないところから意味のある言葉を話すまで、まずは順を追ってみていきましょう。

1. クーイング

生後1~3か月ごろ、赤ちゃんは「あー」「うー」「くー」といった声を出すようになります。ハトの鳴き声に似ていることから「cooing(クーイング)」と呼ばれるこの声は、赤ちゃんののどや声帯が少しずつ発達しているしるし。口と鼻を仕切る弁の調整がまだできないため、喉で発せられた声は口と鼻の両方から音となって出てきます。赤ちゃんは自分から声が出ることを楽しみ、それを喜ぶ大人の反応を楽しんでいます。
 

2. 喃語の発達

唇や舌を使わないクーイングの時期から、子音を含んだ「だー」などの声が少しずつ出るようになり、生後5、6カ月ごろには「ダダダダ」「ママママ」といった子音・母音が連続する喃語へと移り変わっていきます。同じころ離乳食が始まり、食べ物をかむ、飲み込むようになると唇や舌の力もより強くなり、「ンマンマ」「アプー」など唇を使った発音もできるように。こうした喃語を繰り返しながら、子どもは発声の仕組みを学んでいるのです。9カ月ごろには身体の成長にともない発声の調節がさらに上達。話せる喃語の種類も増え、発生も力強くなっていきます。
 

3.意味のない音から、意味のある単語へ

喃語は特に意味を持たない音の連なりですが、徐々に意味を持つ単語を話すようになっていきます。
 

①一語文

「ブーブー(車)」「マンマ(ごはん)」など、意味のある単語がよく聞かれるようになるのは1歳前後。これを「一語文」といいます。子ども自身も意味をおおまかに理解し、大人とのコミュニケーションツールとして使い始めているのです。
 

②二語文

さらに、1歳半~2歳ごろには「くまさん、ねんね」「みかん、ちょうだい」といった、意味を持つ名詞や動詞が2つ連続する「二語文」が話せるように。ボキャブラリーが増えて言葉のつながりへの理解も進み、意思を伝えることも上手になってきます。
 
以上、言葉の発達段階を見てきましたが、一つ一つのステップの積み重ねで言葉が発達していくことがお分かりかと思います。このステップをスムーズに進んでいくには何が必要なのでしょうか。次の章で見ていきましょう。
 

 

(3)言葉を話すために必要な力

「うちの子、言葉が遅いな…」「喃語で止まってしまっている」という場合は、次の4点のうちいずれかの力が十分育っていないのかもしれません。

1. 目で見たものを共有する力

言葉はまず、「自分が見ているものを相手にも伝えたい」と思う欲求が元となって発せられます。例えば、散歩に出かけてバスが通るのを見ると、「バス!」と指さしてお母さんの方を向く。ただ事実を言っているだけではなく、「あそこにバスが通っているよ、ほら見て」と伝えようとしているのです。親が「大きなバスだね」と答えると、そこでまた子どもが「大きい!」と繰り返したりします。同じものを見て言葉で共有することで、語彙はどんどん増えていきます。
 

2. 耳で聞こえたものを共有する力

視覚と同様に、耳で聞こえた音に対しても子どもは親に知らせようとしますね。ゴミ収集車から流れてくる音楽に「トラック!」と気づいたり、救急車のサイレンをまねしたり。これも、「こんな音がしているよ、ねえ、聞こえてる?」という音や言葉の共有なのです。
 

3.周囲のものや動作を理解する力

もし「リンゴ」を知らない人がいたら、その人から「リンゴが食べたい」という言葉は出てこないでしょう。言葉が指すものや動作がなんであるかを理解していないと、その言葉を使うことはできないのです。「マンマ食べる」と二語文を話すには、「マンマ」がごはんであり、「食べる」は口に入れてモグモグするということを子どもがわかっている必要があります。このような日常的な動作や周囲のものについて理解が遅れていると、言葉の発達も遅れてきます。

4.発音の力

舌の力や口腔の構造の問題でうまく言葉が出てこないパターンもあります。幼児ならではの舌足らずな話し方であれば、大概は成長とともに上手に話せるようになります。食事をよくかむなどあごや舌を鍛えるのもいいでしょう。しかし、中には「舌小帯」という舌と下あごをつなぐ部分が短い子どももいます。サ行・タ行・ラ行の発音が難しいといった特徴があるので、気になる方は専門医を受診してみましょう。

 

(3)喃語しか話さない2歳児との接し方のポイント

お子さんが2歳になっても喃語しか話さない場合、上記のような力が未発達の可能性があります。それを考慮して、子どもが言葉を理解しやすいよう話し方を工夫してみましょう。

1. 子どもに合わせてゆっくり話す

幼い子どもは、早口で話しかけられるとすべての言葉を理解しきれません。言葉がまだうまく話せない子どもには特に、ゆっくりとした口調で、短めの文章で話すようにするとよいでしょう。
 

2. 子どもを確認してから話しかける

子どもが見ていないものについて話しかけても、言葉とイメージがつながらないため何について言われているのか理解できないことも。「〇〇ちゃん、これ見て」とまずは視線を誘導し、注目していることを確認してから話すようにしましょう。
 

3. 子どもが言いやすい言葉を使う

子どもには「パパ・ママ」ではなく「お父さん・お母さん」と呼ばせたい、「あんよ(足)」「わんわん(犬)」などの幼児語は正しい言葉ではないので使わない方がいいのでは、と考えている親御さんもいます。ただ、子どもにとっては発音が難しい単語もあり、結果的に言葉を発しにくくなってしまうことも。正しい言葉を正しく発音することよりも、まずは「言葉を話すのが楽しい」「言葉でやり取りできるのがうれしい」と子どもに感じてもらうことが肝要です。「お父さん」「お母さん」と言えないなら「とーと」「かーか」でもOK。子どもにとって発音しやすい幼児語やオノマトペもこだわらずに使っていきましょう。

4. 自然な抑揚で話す

子どもがわかりにくいのではと、一音一音区切って話すのは逆効果。おやつを食べていて「お・い・し・い・ね」と区切って言われても、まったくおいしそうに感じられませんよね。子どもは乳児のころから言葉をリズムのようにとらえて聞いているといいます。「おいしいね」と自然な抑揚で、そして「おいしい」「楽しい」といった感情をこめて話しかけてあげましょう。そうすることで、物事と言葉がスムーズにつながっていきます。

 

(4)2歳児の言葉の発達を促すために心掛けたいこと

子どもの言葉の発達を促すためには、親の意識や働きかけも大切。日々の心がけで少しずつ子どもの言葉を引き出していきましょう。

1. 相槌を打つ、子どもの言葉を繰り返す

クーイングや喃語であっても、親が同じように言葉を繰り返すと、子どもは反応してくれたことに喜びを感じてより話すようになるといいます。「マンマ」「わんわん」など子どもが話しているとき、同じものを見ながら「マンマだね。おいしいよ」「うん、わんわんだね」と相槌を打って繰り返してあげましょう。そうすることで、改めて言葉と物事が結びつくとともに、言葉を発して反応してもらう楽しさを覚えるようになります。
 

2. 同年代と触れ合わせる

ほかの子どもの遊び方をじっと見たり、マネしてみようとしたり。2歳ごろになると同年代の子どもへの興味も増してきます。まだ一緒に遊ぶというところまでうまくいかない場合も多いですが、相手のおもちゃを貸してほしがったり、何かを見せたがったりすることは、なんとか言葉を話そうとするきっかけにもなります。近所の公園や児童館など、同年代の子どもたちと触れ合える場に行ってみるのもいいですね。
 

3. さまざまな体験をさせる

何か新しい刺激に対して子どもは敏感です。「なんだろう」「知りたい」という気持ちが刺激となって、言葉の成長を助けてくれることも。レジャー施設や旅行など特別なイベントももちろんですが、いつもと違うルートを散歩する、季節の草花や虫を観察するといった身近な体験でも十分です。子どもの興味をとらえて、「これは赤とんぼ」「きれいな色だね」と積極的に話しかけ、言葉のインプットを進めてあげましょう。
 

 

(4)まとめ

子どもの言葉の発達がゆっくりな場合の原因や対策についてお話ししました。言葉については個人差が大きいので、焦らず見守っていきましょう。そして、その子のペースで言葉が育つ環境を作ってあげることも大切です。不安があればSNSなどで一人で解決策を探るのではなく、専門家に相談を。

言葉の発達をせかし過ぎない

「なんで話せないの」「その言い方は正しくない」など、親が話すことを強要したりその都度間違いを指摘したりすると、子どもは「話すことが楽しくない」と感じ、ますます言葉の扉は閉ざされていきます。焦る気持ちを抑えて、子どもがマイペースで言葉のステップを上るのを見守ってあげましょう。

抱え込まずに専門家に相談を

子どもの言葉の相談ができるのは、自治体の相談窓口や発達支援センターのほか、一般の小児科、耳鼻咽喉科など。1歳半や3歳児健診で指摘され、相談を行う場合が多いようですが、親が不安で仕方ない場合は育児にも影響が出てきます。一人で抱え込まずに、健診時以外でも専門家に相談してみましょう。また、子ども自身がコミュニケーションが取れずかんしゃくを起したり困ったりしている様子であれば、専門家の助言が必要なとき。早めに相談を行い、適切なサポートを行っていきましょう。

言葉があふれる環境づくり

仕事に育児にと忙しい親御さんも多いですが、テレビや動画に任せきりにせず、なるべく子どもとの会話の時間を持つようにしましょう。目の前にあるリアルなものや人についてコミュニケーションを取ることで言葉はインプットされていきます。

子どもが何かをほしがったとき、察して渡してしまうのではなく「ミルクがほしいの?」ときいたり、「ミルクをどうぞ」と渡したり、動作や物事を言葉にするようにしましょう。

絵本の読み聞かせもいいですね。子どもが反応したら「コブタさん、かわいいね」「けがをしてかわいそうね」など話しかけるなど、言葉に触れる機会をなるべく増やしていきましょう。

 
 

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Writer:はまキッズ
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