【コラム】子どもの《空間認識能力》を鍛えるには?幼児期におすすめの玩具を紹介
幼児期のうちに身に付けさせたい能力の一つ、「空間認識能力」。実は、勉強やスポーツ、日常生活においても非常に重要な役割を果たすものなのです。今回は、「空間認識能力とは何か」、そして「鍛えるにはどのような玩具を使えばいいのか」を具体的に紹介します。
(1)空間認識能力とは?
(2)空間認識能力が高いとどうなる?
1.数学や科学分野に強くなる
2.図工・美術などの分野でイメージ力が高くなる
3.球技などのスポーツが得意になる
(4)子供の空間認識力を高める親の働きかけとは
1.形や空間を表す言葉を意識的に使う
2.日常生活のなかで子供に空間認識を促す問いかけをする
3.組み立て遊びや知育玩具、工作に親しむ
(5)幼児期に空間認識能力を鍛えるオススメのおもちゃ
1.積み木で空間認識能力を鍛える
2.ブロックで空間認識能力を鍛える
3.マグネットブロックで空間認識能力を鍛える
空間認識能力とは?
身近な例でいうと、
・車の車庫入れをするとき、壁と車の間隔やハンドルを切って車体がどう動くかを認識する
・知らない土地で地図を見て散策するとき、二次元である地図を三次元の街並みに置き換えて方向や距離感を把握する
このようなときに発揮されるのが「空間認識能力」です。3次元で生きている我々にとっては日々必要な能力と言えるでしょう。
空間認識能力が高いとどうなる?
数学や科学分野に強くなる
中学校や高校で「図形」の問題を解いたことを覚えていますか。平面図形に加え、「この図形を斜めに切断した部分の面積を求めよ」「この図形を回転させたときの体積を求めよ」といった空間図形の問題もあり、「苦戦した」という人もいるかもしれません。空間図形の問題は、実際には見えない部分や動かしたときの形を想像する必要があります。空間認識能力が高い子どもはそれが頭の中でスムーズに思い描けるので、比較的難しいとされる問題で差が付けられるというわけです。
物質がある状況下においてどう変化するか、どのような動きをするかを推測するような科学・物理分野も、空間認識能力が求められます。
図工・美術などの分野でイメージ力が高くなる
アートの分野でも、空間認識能力は発揮されます。対象となるものや空間の大きさ・距離・位置関係を正確に把握することで、平面のキャンバスに立体的に見える絵を描いたり、彫刻などの立体作品をバランスよく制作したりできるのです。身近で絵がうまい人がいれば、その人は空間認識能力が高いのかもしれません。
球技などのスポーツが得意になる
空間認識能力が高い子どもは、スポーツ分野でも利点があります。特にバスケットボールやサッカーなど球技においてそれは発揮されます。どこにボールが飛んでくるか、チームメンバーがどのあたりにいるのか、どのくらいの力でボールを蹴ればちょうどいい距離なのかを瞬時に判断できることは、的確なプレーにつながります。
空間認識能力を高めることにより、将来的に広い分野で活躍できる可能性がある、ということです。生まれもった高低差はあるものの、空間認識能力はある程度鍛えることで高まるとされています。親としてはぜひ子どもの空間認識能力を高めていきたいところですね。では、いったい何歳までに鍛えたらいいのでしょうか。次章でご説明します。
空間認識能力は何歳までに鍛える?
一般的に、空間認識能力が大きく伸びるのは、運動機能・感覚機能が著しい発達を見せる3~5歳ごろといわれています。少なくとも小学校低学年までに鍛えていく必要があるようです。中学校の空間図形の問題について触れましたが、そのころになって空間認識能力を鍛えようとしてもなかなか難しく、説明を受けても理解しにくいということに。つまりは、幼児期に意識して高めていく必要があるのです。
子供の空間認識力を高める親の働きかけとは
幼児期に空間認識能力を高めるには親の働きかけが欠かせません。といっても、特別な訓練をするということではなく、日常生活や遊びのなかに取り入れていけばOK。今日からすぐ始められますよ。
形や空間を表す言葉を意識的に使う
子どもと話すとき、つい「あれ取ってきて」「これかわいいね」など、具体的ではない指示語を使いがちではありませんか。意識してその形状(大きい・背の高い・丸い・曲がったなど)や位置(左右・上下・真ん中・高い低いなど)について言葉にするほうが、空間認識能力が高まる、といった研究もあります。
例えば「あれ取ってきて」ではなく、「あの四角いブロックを取ってきて。緑の丸いブロックの右側にあるよ」といった具合です。日常的に空間・形状に関する言葉を浴びることで、自然と子どもの中にインプットされていきます。
日常生活のなかで子供に空間認識を促す問いかけをする
ものの形状や位置について、子どもに質問するのもいいでしょう。「四角い折り紙を斜めに折ったらどんな形になる?」「大根を輪切りにしたらどんな形かな?」など。すぐに教えるのではなく、子どもがイメージする時間をつくることがポイントです。
片付けの際に、「このおもちゃが全部入るのはどっちの箱かな?」などと推測させるのもいいですね。
組み立て遊びや知育玩具、工作に親しむ
遊びにおいては、組み立て式のおもちゃや知育玩具も空間認識能力を高めてくれます。代表的なものは積み木やブロックなどですね。こちらは次章で具体的に紹介します。
また、立体を作る工作もおすすめ。厚紙を切ってロボットや家を作ったり、いすや机、箱を組み立てたり。制作の段階は、必要な材料の形や大きさを自ら考えるトレーニングになります。SNSではペットボトル、ラップの芯など廃材を使った工作が多数アップされているので、参考にして気軽にチャレンジしてみては。
幼児期に空間認識能力を鍛えるオススメのおもちゃ
積み木で空間認識能力を鍛える
乳児期から買っている家庭も多い積み木。幼児期もぜひ活躍させたいおもちゃです。
積み重ねるだけで立体ができる積み木。教えなくても、子どもはさまざまなものを作りあげてしまいます。作りたい形にするにはどの形状の積み木を選べばいいのか、どう積み上げればいいのかを考えることで、空間認識能力を高めます。立体を作る中で、正面からは見えない部分にも積み木があることを理解するのにも役立ちます。
▼ピックアップ▼
【cuboro(キュボロ)】
4歳以上の幼児にオススメな積み木がスイス生まれの「cuboro(キュボロ)」。棋士・藤井聡太さんが幼いころ遊んでいたということでも有名です。立方体の木のブロックには溝や穴が彫られ、組み合わせることで道を作り、ビー玉を転がして遊ぶというもの。工夫次第でさまざまなルートが作れます。見えない内部にも道ができるため、頭のなかで立体的に想像する力が必要となります。
ブロックで空間認識能力を鍛える
ブロックもおもちゃの定番。年齢に合わせて適切なブロックを選んであげるといいでしょう。
ブロックは、作りたい形をイメージして大きさや形を選択しつつ組み合わせていきます。ブロック同士の形が合わないとすき間ができたり組みあがらなかったりすることもあるので、それぞれの形状や全体の大きさを把握する力が育ちます。
▼ピックアップ▼
【レゴブロック】
ブロックの代名詞ともなっている「レゴブロック」。レゴクラシックのベーシックセットでは、20色のブロックを組み合わせて思いのままに制作することができます。1歳から使える大きめサイズの「レゴデュプロ」のほか、電車や街並み、お城、宇宙などさまざまなテーマのシリーズがあり、女の子向けのものも登場。子どもの興味に合わせて購入してもいいですね。
三角形、四角形、五角形などのプレート状のブロックを組み合わせて遊ぶ「JOVO」。開発されたデンマークでは、多くの幼児施設や小学校で取り入れられているとか。辺に切り込まれた凹凸で簡単に組み合わせることができ、家や車などさまざまな立体が作れます。対象年齢は5歳以上。
マグネットブロックで空間認識能力を鍛える
磁石を組み込んだマグネットブロックも人気。小さな子どもでも簡単に遊べます。
磁力でブロック同士をくっつけられるため、よりスムーズに立体の造形を作ることができるマグネットブロック。平面で作ったものを組み立てて立体にしたり、逆に立体を展開して平面にしたりということも簡単にでき、立体構造を理解しやすくなっています。
▼ピックアップ▼
【マグ・フォーマー】
マグネットブロックでメジャーなのはボーネルンド社の「マグ・フォーマー」。2,3歳から始められるようです。フレームタイプのブロックで、三角形、四角形、五角形、六角形、平行四辺形など形はさまざま。表裏で色が異なり、形だけではなく色の組み合わせも考えつつ遊べます。六角形のブロックは三角形のブロック6個分、というように、異なる形同士が関連しやすいようになっており、自然と図形の基礎を学べるようになっています。
パズルで空間認識能力を鍛える
ピースを組み合わせて絵柄を完成させるパズル。最初は、ピースが少なめのものから始めていきましょう。
自由に形を作るブロックとは異なり、パズルは完成図を目指してピースを組み合わせていきます。元の絵を記憶し、各ピースがそのどのあたりになるのかを考えることで、空間認識能力が鍛えられます。簡易なパズルだと完成図がないものもありますが、ピースの絵柄を見て欠けている部分の絵を推測する力が養われます。平面のパズルがスムーズにできたら、立体パズルに挑戦してもいいでしょう。
▼ピックアップ▼
【賢人パズル】
立体型の木製パズル「賢人パズル」。付属の冊子に書いてある立体の形を、キューブ型のブロックを積み重ねて作っていきます。図では見えない部分にどうブロックを積んだらいいのかを推測するなど、平面の図を立体として構成しなおすことで空間の認識力が磨かれていきます。対象は3歳以上。
それぞれのおもちゃには1,2歳ごろから遊べるものもあれば、幼児期後半に適しているものもあります。空間認識能力は徐々に発達するため、あまり難しすぎるとそれを発揮することができないということに。各おもちゃの対象年齢を参考に、それぞれの子どもの能力にふさわしいおもちゃを選んで与えてあげるのが大切です。
まとめ
空間認識能力を鍛えるには幼児期が重要
空間認識能力は勉学やアート、スポーツ、日常生活でも役立つ能力。しかし、成長してからではその能力は高めることが容易ではなくなります。大きく発達する幼児期に高めていくことが重要と心得て、親が積極的に働きかけを行っていきましょう。
楽しく遊びながら空間認識能力を鍛えよう
空間認識能力は、遊びや日常の中で自然と高めていくことができます。おもちゃを選ぶ際、また遊びを行う際には親が少し意識してあげるといいですね。日常の会話の中でも、空間・図形を意識した言葉を使っていきましょう。「一番背の高いコップはどれ?」などクイズ感覚で取り入れてもいいかもしれません。子どもが楽しみつつ、図形や空間の知識を身に付けられるようにしていきたいですね。
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