幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」とは?幼児教育の中で意識したいポイント、家庭での活用例も紹介

日本においては、子どもが育ちゆく中で身に付けたい力や目指すべき姿を明文化し、それに基づいた教育方針が文部科学省を中心にまとめられています。「幼児期の終わりまでに育ってほしい『10の姿』」は、そのファーストステップといえるもの。近年の社会の変化なども鑑み、2018年に策定されました。
幼稚園はもちろん保育園では、この「10の姿」を目標としてカリキュラムを組んでいるところも多くあります。親としても「10の姿」を理解することで子どもの伸ばすべき力を把握しやすくなるでしょう。そこで今回は、その内容を分かりやすく解説。家庭ではどのように取り入れていけばいいのかも紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
(1)小学校以降の学びや生活の基礎となる「10の姿」
1.幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」とは
2.幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」はなぜ重要?
(2)幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」で意識したいポイントは?
1.達成目標ではなく、子の成長を認識するための「めやす」である
2.一つ一つの姿は連携している
3.遊びの中で関心を引き出し、非認知能力を伸ばす体験を
4.小学校との「橋渡し」と理解する
(4)まとめ
(1)小学校以降の学びや生活の基礎となる「10の姿」
幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」とは
文部科学省による説明(※)も交えながら、「10の姿」を解説していきます。
10の姿の視点1 健康な心と体
「健康な心と体」とは「自ら健康で安全な生活をつくりだすようになる」ということ。
さまざまな遊びを通じて体を思い切り動かすほか、早寝早起きなど規則正しい健康的な生活習慣を身に付ける、食事、衣服の着脱、排泄など生活の基本行動を自分で管理してできるようになる、といったことがあげられます。
10の姿の視点2 自立心
「自立心」とは「自分の力でやり遂げる体験などを通じて自信を持って行動するようになる」ということ。
親や先生にすぐに頼ってしまうのではなく、自分のことは自分でする、という自立心を育てます。指示待ちではなく、周りの状況を把握して今自分がすべきことを実行する、工作でも何でも取り組んだことは最後まで自分でやり遂げる、ということが大切です。
10の姿の視点3 協同性
「協同性」とは、「友達と一緒に目的の実現に向けて考えたり協力したりするようになる」ということ。
社会においては他者との協同は欠かせません。幼いころは我がままにふるまうことも多いでしょう。自分の意見を伝えることは大切ですが、友だちを思いやること、自分の言動を律していくことも学ぶ必要があります。
10の姿の視点4 道徳性・規範意識の芽生え
「道徳性・規範意識の芽生え」とは、「よいことや悪いことがわかり、相手の立場に立って行動するようになる。決まりを守ったりするようになる」ということ。
集団生活で友だちと触れ合いときにケンカをする中で、相手の気持ちを考えることを学ぶ子どもたち。クラスの決まりや遊びのルール、公共の場でのルールなどを守る大切さも、教えられることで少しずつ学習していきます。
10の姿の視点5 社会生活との関わり
「社会生活との関わり」とは、「家族を大切にしたり、身近な人と触れ合って地域に親しみを持つようになる。遊びや生活に必要な情報を役立てて活用したり、公共施設を使用して、社会とのつながりを意識するようになる」ということ。
自分にかけられた愛情と同じように、親や兄弟姉妹、祖父母をいつくしむ気持ちを学ぶのも幼児期。家庭内だけではなく、生活する地域の人々と触れ合い、つながりを作っていくことが社会性を育みます。
10の姿の視点6 思考力の芽生え
「思考力の芽生え」とは、「身近な事象から物の性質などを感じ取ったり、予想したりして、多様な関わりを楽しむようになる」ということ。
同じおもちゃを与えても、子どもによって遊び方は異なることも。工作で廃材をつかっておもちゃを作るなど、遊びの中で子どもの思考力はどんどん鍛えられていきます。
10の姿の視点7 自然との関わり・生命尊重
「自然との関わり・生命尊重」とは、「自然への愛情や畏敬の念を持つようになる。生命の不思議さなどに気付き、動植物を大切にするようになる」ということ。
幼児期は屋外でのびのびと遊ぶことが重要。屋内では感じられない陽光や風、緑のきらめきなどは五感を刺激し、多くのインスピレーションをもたらします。奥深い自然の不思議に触れるなかで、その大切さを身をもって学んでいきます。
10の姿の視点8 数量・図形、標識や文字などへの関心・感覚
「数量・図形、標識や文字などへの関心・感覚」とは、「遊びや生活の中で、数量や図形、標識や文字などに親しんだりして、興味や関心、感覚を持つようになる」ということ。
身の回りの本や店舗の看板などを通じて、幼児は自然と文字や数字、マークなどに興味を持ちます。普段の会話の中でも、物の形や数を意識して取り入れていくといいでしょう。勉強ではなく、遊びの一環として楽しく教えてあげることが大切です。
10の姿の視点9 言葉による伝え合い
「言葉による伝え合い」とは、「経験したことなどを言葉で伝えたり、話を聞いたりして、興味や関心、感覚を持つようになる」ということ。
相手の言うことを理解するだけではなく、自分の考えを的確に表現することが必要とされる現代。幼児だからといつも先回りして何でもやってあげるのではなく、自分の要求や思ったことをしっかりと言葉で伝えられるように教えてあげることが必要です。自己主張だけではなく、相手の言葉をしっかり受け止める大切さを伝えることも忘れずに。
10の姿の視点10 豊かな感性と表現
「豊かな感性と表現」とは、「心動かす出来事に触れ、感じたことを表現して、表現する喜びを味わい、意欲をもつようになる」ということ。
自己表現の方法は言葉だけではありません。自由に楽器を鳴らしてみたり、絵を描いて見たり、ダンスをしてみたり。さまざまな表現に触れさせて、そのユニークな感性を磨いていく機会を与えてあげましょう。

幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」はなぜ重要?
「VUCA」=予測不能といわれる現代社会。「10の姿」は、そんな未知の世界へとやがて羽ばたいていく子どもたちのために、逆算して考えられたものといえます。
社会人への移行期である学校教育においては、学んだことを人生や社会で生かせる「学びに向かう力や人間性」、未知の状況に柔軟に対応できる「思考力・判断力・表現力」、実際の生活や社会で生かせる「知識及び技能」を育てることが目標とされています。(※)
幼児期にめざす「10の姿」は、その土台・基礎となるもの。幼児期にしっかりと土台を築くことで、学校教育期においての成長がスムーズになり、やがては社会に出たときに自分らしくたくましく生きていく力となるのです。
(※)文部科学省「一人一人のよさを未来へつなぐ-学校教育のはじまりとしての幼稚園教育-」
(2)幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」で意識したいポイントは?
達成目標ではなく、子の成長を認識するための「めやす」である
「10の目標」ではなく「姿」とあるように、「絶対にこうならなくてはならない」という達成目標ではありません。「就学前にこのような部分が育っているといい」という目安です。
子ども一人一人には個性があるので、成長の偏りがあって当然。親としては多彩な遊びや経験をさせてあげつつ、折々の子どもの言動から「今はこんな力が伸びているときだな」と意識することが重要です。
一つ一つの姿は連携している
屋外での遊びが豊かな感性を育み、健康な体も作っていく、というように、それぞれの項目は関連し合っています。どれか1つを集中して伸ばしていこうとするのではなく、遊びの中で関連し合いながらバランスよく育てていけるよう、多角的な視点をもちましょう。
遊びの中で関心を引き出し、非認知能力を伸ばす体験を
幼児期の学びは「教え込まれる」ものではなく、「遊びを通じて自発的に学ぶ」ことが最も重要です。
たとえば、ひらがなや数字をプリントで教え込むよりも、お気に入りの絵本を何度も読んだり、幼児用のカルタで遊んだりするほうが自然と覚えられるもの。さまざまな体験をさせることで、興味・関心、意欲、探求心といった「非認知能力」が伸びていきます。
小学校との「橋渡し」と理解する
「10の姿」は幼稚園や保育園だけで共有されているわけではありません。小学校の教員も理解していて、就学直後はそれを踏まえたカリキュラムが組まれています。
この「10の姿」はいわば幼稚園、保育園から小学校への橋渡し。これらの目安にある程度到達していれば、就学後も興味を持って学習に取り組み、友だちとの協同もスムーズに進められるでしょう。
(3)家庭でも「10の姿」を意識してみよう
~10の姿を育てる家庭での取り組み例~
●規則正しい生活をする
●何か質問されたときは「どう思う?」と考えさせる
●屋外に遊びに連れていく
●簡単な家事を任せる
●一緒に庭で植物を育てる
●近隣の人との交流を深める など
このようにできることはたくさんあります。
常に「10の姿」を心にとどめておくのは難しいかもしれませんが、遊んであげるとき、会話をするとき、いつもの言動に少しでも反映させられるといいですね。
(4)まとめ
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