【コラム】幼児期の家庭学習 おすすめの方法とは

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家庭学習に関するお悩みは、保護者の方から非常によくお伺いします。
特に幼児期の家庭学習は、内容以前に習慣化や取り組み方などの前段階が確立されていないため、なかなか思うようにいきません。
幼児教室や学習塾の宿題も含め、家庭でどのように学習を進めればよいか、時間・量・取り組み方など日々模索しておられる方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は「幼児期の家庭学習」にテーマを絞り、お悩み別におすすめの方法をご紹介します。

 

お悩み①
子どもがなかなか机に向かわず、勉強を始めるまでに時間がかかってしまいます…。

Answer:
子どもの年齢にもよりますが、小学生ならいざ知らず、幼児期には基本的に机にジッと向かうという習慣がありません。
ましてや、3歳・4歳くらいの子どもならなおさらです。
幼児教室に通い始めたからといって、無理に机に向かわせるのは逆効果です。

このような時におすすめの方法は、「学習」と「習慣」を切り分けて子どもに接することです。

そもそも、学習をするにあたって、机に向かうことは必須でしょうか。
決してそうではありませんよね。
幼稚園や保育園の行き帰りなど、移動時間を利用して計算やしりとりをするのも学習の一つです。
ただし、このときに「3+2はいくつ?」などプリントと同じような問いかけをしては面白くありません。
その時見えている風景によって、「川に白い鳥さんが3羽いるよ。見える?あっ、あっちには黒い鳥もいる。何羽いる?そう、2羽だよね。じゃあ全部で何羽かな?」などと、親が自然な形で聞いてあげると良いでしょう。
こうしてまわりの風景を活用することは、子どもが計算に飽きたとしても、「じゃあ次は〇〇探しをしようか」「葉っぱの色が赤や黄に変わってきたね」などと言って、テーマを自在に変えることができるのでおすすめです。

このように、机上の知識学習ではなく、外の世界といろいろな関連付けを行う興味学習の方が、自然な形で子どもの学習意欲を高められるのです。

次に、習慣については、まず事前に以下の点ができているかチェックしてみてください。

<子どものチェックポイント>
□人の話をじっと聞くことができますか?
□家庭内の約束事がありますか?
(帰宅したら手洗いうがいをする等)
 また、それを守れていますか?
□机の上が片付いていますか?
□夜の読み聞かせをしていますか?

<親のチェックポイント>
□親子で会話をしていますか?
□親も約束事を守っていますか?
□家全体で整理整頓されていますか?
□親が読書や学習をする習慣はありますか?

すでにお気付きの通り、子どもが習慣としてできるかどうかのポイントは、家庭内に一定のルールや習慣があるかどうかに関係しています。
子どもの前に、一度、家庭内を見てみましょう。
上記のポイントがクリアできていれば、机に向かって勉強することもスムーズにできるでしょう。

 

お悩み②
うちの子は興味のあることしか取り組もうとしません。このままでよいのでしょうか。

Answer:
そのままで問題ありません。
安心して子どもの興味関心を受け入れ、伸ばしてあげてください。
無理に強要してまで他のことをやらせるのはよくありません。
幼児期は敏感期と言われるように、時期によって子どもなりの興味やブームがあります。
おもちゃで考えてみると分かりやすいのではないでしょうか。
お子様は半年前、1年前のおもちゃで今も遊んでいますか?
仮に遊んでいるとしても、今後もずっと遊び続けるでしょうか?
大半のおもちゃはいずれ捨てられるか、押し入れの中に眠ってしまいますよね。

もし、数年スパンで子どもが取り組めていることがあれば、それは長期でやり続けて「興味」から「強み」、さらには「自信」まで持っていってあげましょう。
分かりやすい例としては、スポーツ選手などのプロの世界が極みですよね。

そうは言ってもやはり多少はいろいろやらせないと不安…という方におすすめなのは、興味をほかの周辺のことに結び付けるという方法です。
例えば、電車が好きな男の子であれば、「車種と色」「車両と数」「運転席のメーターと速さ」「時刻表と時間」など、子どもの視点にない話題を振ってあげると、自然と学習に必要な知識も広がっていくでしょう。

 

 

お悩み③
子どもに、勉強が楽しい時間であると思わせる家庭での学習方法を教えてください。

Answer:
ここでおすすめなのは、勉強=楽しい時間にするために「結果」と「過程」の2点を明確にすることです。

まず「結果」については、家庭学習を始める前に「3枚」や「10分」など学習量や時間などのゴールを決めておくと良いです。
その上で、日々、最初に決めた量や時間が達成できたかどうかを見てあげてください。
当初のゴールがクリアできていたら、たくさん褒めてあげましょう。

その際、小学校受験など直近で必要な場合は別として、幼児期にうちに問題ができたかどうかを過度に評価することは極力避けましょう。
この部分を過度に見ると、小学校に進級してからも、評価軸が「物事ができる・できない」になってしまい、新しいことへのチャレンジに身構えるようになる可能性があります。

次に「過程」ですが、幼児期はまだ一人でできることも少なく、ただ机に向かいプリントをするだけでは集中力もなかなか長続きしません。
そこで、親子で一緒に取り組むようにすると良いです。
また、このときに動作を伴う作業を入れるとさらに良いです。
具体的には、プリントだけでなく学具などを使って遊び感覚でやってみたり、5問できたらミニ休憩(丸付け・ハイタッチ・褒めるなど親子のスキンシップ)を取ったりすることは効果的です。
また、問題に取り組むときに親が全て先回りするのではなく、多少時間がかかったとしても、学習前後の準備や後片付けを子どもに手伝ってもらうということも有効です。
参考までに、以前、私が実際にお教室の授業でとりいれてみたことをご紹介します(家庭と教室で少し環境は違いますが…)。
*****

たとえば上のような図形の合成分解を扱う場合、

・授業前、早く来た子どもに、例題で使うための折り紙の準備を一部手伝ってもらう。

・作業中は授業で使うとしか伝えず、敢えてどのように使うかは伏せておく。
(・授業時に、〇〇くんが作ってくれたよ等とお友だちに紹介し、お礼を言う)

・授業中、自分で作ったものを使って考える

・授業終了後、作ったものをプレゼントして、また家庭で遊んでもらう

*****

このとき、子どもは一から作って概要を把握しているため問題のポイントに気付きやすく、自分でやった・できたという達成感も感じやすくなります。
さらには、家庭での復習にも繋げられます。
学習時間を単なる“勉強”としてではなく、楽しかった“経験”として受け止めてもらえるように、前後の時間も含めた一連の流れの中で、遊び感覚や褒められたという印象を子どもに持ってもらうことがポイントになります。

最後に、最も大切なのは、この一連の流れを親自身が重荷に感じることなく楽しむということ。
これこそが成功の秘訣です。

 

お悩み④
子どもが、プリント嫌いになってしまいました。対処法を教えてください。

Answer:
子どもがプリント嫌いになる原因は、主に2つあります。

①わからないから楽しくない
②保護者の方の表情・お声がけに焦りや怒りが見える

①の場合、まず、子どもが絶対わかる問題に戻ってみましょう。子どもは、「わかる」、「できる」と思えると、自信がつきます。自信は、次も考えたらできるかもしれない、と思わせる原動力となります。自信がついてきたら、次は、少しのヒントで考えればわかる問題レベルに上げます。問題集も、段階別のものを選び、最初から取り組んでみるといいですね。
 
また、よくありがちなこととして、間違えた問題を集めて、正解するまで取り組ませる、という方法がありますが、やり方には注意が必要です。それが、②です。

子どもが間違えたとき、保護者の方はどういう表情をしていますか?どういうお声がけをしていますか?「試験までに時間がないのに」という焦り、「どうしてまた同じ間違いをするの?」という怒りを出してしまうと、子どもはどうなるでしょうか。自信がなくなり、間違えることに必要以上の怖さを感じ、自分で考えることができなくなってしまいます。

逆に言うと、子どもにとって大好きな保護者の方に、できたところを褒められたり間違えても「よく考えたね」と言われると、こう考えればいいかもしれないね、というヒントを素直に受け止め、もう一度やってみる、という気持ちになります。そして、子どもが自分で考えてできたとき、保護者の方も一緒になって大喜びすると、効果絶大です!
 
プリント嫌いを直すコツは、

①わかる問題で自信をつける
②保護者の方が表情や声掛けをプラスに変える

です。

この2点ができれば、一気に学び好きに変わることでしょう。

 

お悩み⑤
空いた時間に、ついつい携帯を見せてしまいます。親子でできる楽しい遊びはないでしょうか。

Answer:
子どもに携帯を見せて時間をつぶさせることのデメリットは、何でしょうか。

①受動的になる
②自己表現の機会が減る
③親子の触れ合いの時間が減る

この3点です。

幼児期は、会話を聴き、自分で言葉を発することで言語能力を獲得していきます。つまり、「会話」が非常に重要なのです。では、会話が生まれる楽しい遊びをご紹介します。

①しりとり
音韻分解の基礎となる遊びです。幼児期は、言葉を音として聞いていますので、言い間違い(ヘリコプターをヘプコプターと言うなど)をします。そう聞こえているのですね。言語能力が発達してくると、ヘリコプターは「ヘ」「リ」「コ」「プ」「ター」という音がつながって一つの言葉ができていることがわかります。

音韻分解を理解する方法として、しりとり遊びは最適です。最初の音・最後の音を意識することで、音が分かれていることが理解できてくるでしょう。また、発展問題として、うし→〇〇→かめの間に入るのは、しか・しまうまのうちどちらでしょう?と聞いてみるといいでしょう。すると、先を見る力、逆算する力がつきます。さらに、食べ物しりとり、動物しりとり、など、縛りを入れることで、分類分けの基礎概念を育てることもできます。
何より、ちょっとした移動時間など、何もおもちゃがなくても遊べる点がいいですね。

②私は誰でしょう?クイズ
保護者の方、あるいは子どもに何か一つものや人物、動物など好きなものを思い浮かべてもらい、それになりきって、質問に答えて、相手に当ててもらいます。質問する側は質問力がつきますし、答える側は、そのものに対して知識が必要になってくるので、遊びながら能力を高めることができます。

③お買い物ごっこ
子どもにとって、一番身近な数の計算は、お買い物ではないでしょうか。一緒にスーパーに出かけ、100円でできるだけたくさん買う競争、などをしても楽しいでしょう。

⑤工作遊び
幼児期は、指先の発達がその後の能力開発に最も直結します。なぜなら、指先が発達すると自分のことが自分でできるようになり、肉体的にも精神的にも自立できるようになってくるからです。自立して初めて、問題に向かって自分で解く、理解する、人に頼らず、あきらめずにやりきれるようになります。

指先遊びは大変重要であることから、工作遊びは最適です。紙を切ったりちぎったり、折り紙を折ったり、色を塗ったり・・・指先を使った遊びはたくさんあります。親子でできる工作の本を最初から最後まで全部やってみよう!と、やってみてもいいですね。

⑥外に出かける
外に出かけると、五感を使って本物に触れる機会をたくさん得ることができます。たとえば、風がそよぐ、など、言葉と感触を一致させることで言葉の意味を理解することができます(言語能力育成)。
身の回りの植物や虫を見て観察したり、虫や植物の生態を知ったり、季節を感じたりできます(理科的知識)。水族館や動物園に出かけて、本物に触れることで、興味を広げる・知らないことを知る喜びを感じる(知的好奇心育成)。

それ以外にも、一緒にどこかに出かけ、同じものを見て話をすることで、今しかない、子どもとの触れ合いの時間となります。景色や知識・五感を共有することは、何にも代えがたい、子どもの宝物になり得るものです。是非、試してみてください。

 

今回は、「幼児期の家庭学習」をテーマにおすすめの方法をご紹介しました。
ぜひ、参考になさってください。

 

Writer:はまキッズ
灘中合格者数日本一の実績を持つ浜学園が運営する能力開発型の幼児教室。保護者同室・少人数制の授業で、高い思考力と社会性を養成します。対象学年は3歳~小2生。

 

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