【コラム】【3歳】子の「叩く」にNO!を伝える~叩く理由とシンプルな対処法とは?
3歳頃になると、叩く・つねるなどの行動が見られる時期になります。ママ・パパとしては「外でお友だちにケガをさせたらどうしよう」といった心配がよぎりますよね。この記事では、子どもが叩く理由と辞めさせるシンプルな方法をご紹介します。
(1)【3歳児】子どもが親や兄弟を叩く理由とは?
1.脳の発達が未熟で言語化が難しいため
2.自分の要求を手っ取り早く通すため
3.甘えたい気持ちがあるため
(2)「叩く」子は2パターン存在する!
1.笑いながら叩いてくる子
2.怒り(泣き)ながら叩いてくる子
(3)【5選】親がしてはいけない対応とは?
1.されたことを仕返しする
2.理由を聞かず一方的に叱りつける
3.威圧的に叱る
4.笑ってごまかし、流してしまう
5.泣いたふりをする
(4)【5選】子どもの「叩く」をやめさせるシンプルな方法
1.簡潔な言葉で制止する
2.身体を使って制止する
3.叩いた理由を子どもに聞く
4.止まらない場合はその場から離れる
5.親の姿勢に一貫性を持つ
(5)【大前提】体罰は子育ての怠慢と心に刻みましょう
1.目には目を、は子どもには通じない
2.体罰が与える脳への影響とは
(1)【3歳児】子どもが親や兄弟を叩く理由とは?
脳の発達が未熟で言語化が難しいため
3歳児頃になると、子どもの脳は急激に発達し始めます。会話も2語文から3語文になったり、主語・述語などが使えるようになりますが、一方で我慢や理性を司る「前頭前野」はまだまだ成長途中にあります。そのため、感情をうまく自分の言葉で伝えられない際に、我慢したり聞き流すといった行動にならず「叩く」といった行動に出てしまいます。さらに、この時期は「第一次反抗期」がやって来る時期でもあります。
自分の思いどおりにならない際に、周囲に対し反抗する場面が多くなります。
(参考記事:【コラム】3歳児を必ずワガママにする親のNG行動とは?ベスト対処法もご紹介!)
自分の要求を手っ取り早く通すため
上記のとおり、この頃の子どもは前頭前野が未熟な状態にあります。そのため、感情のコントロールも苦手です。子ども自身が嫌な思いや、理不尽に感じた際に「ダメ!」という意味で叩いたり、手っ取り早く手が出てしまうことがあります。
甘えたい気持ちがあるため
幼稚園や保育園で「叩く」という行動になっていますか?家庭内だけで叩く行動に出てしまう場合は、「親への甘えたい気持ち」を「叩く」という行為で発散しているかも知れません。ある意味、その子にとって家庭は安心できる場所であり、家族は安心して一緒に居られる人たちであると言えるでしょう。
(2)「叩く」子は2パターン存在する!
笑いながら叩いてくる子
笑いながら叩いてくる子には、悪意は全くありません。「かまってほしい」「遊んでほしい」といった思いから叩き、周囲の反応を見ています。そのため、大切なことは、叩かれた際に「反応しない」ということです。「こら!」「やめて!」など過剰に反応してしまうと、子どもに「かまってもらえた」という間違った成功体験を植え付けてしまいます。ポイントは、落ち着いたトーンで「叩かれて悲しかったよ」「すごく痛かった」等、子どもの目を見て伝えることです。自分のふるまいが良くなかったことを理解してもらった上で、「正しい甘え方」も伝えてあげましょう。そうすることで、子どもは良くない行動と正しい行動をセットで覚えられます。
怒り(泣き)ながら叩いてくる子
先述したように、この時期の子どもの脳、特に前頭前野はまだまだ成長途中にあります。自分の欲求が通らなかったり、思いどおりにならない際に、その悔しさなどの感情をうまく言語化できずにフラストレーションが溜まり、結果として手が先に出てしまうのです。親としては、咄嗟に「こら!」「叩いちゃだめでしょう!」と叱ってしまいそうになりますが、「言語化がまだ難しい時期」ということを忘れずに接することが大切と言えるでしょう。
(3)【5選】親がしてはいけない対応とは?
されたことを仕返しする
「だめな行動だと理解させるために必要」と思われるかも知れませんが、それは大きな間違いです。叩き返さなくても、子どもは適切な声かけで是非を判断できます。また、子どもは驚いて傷つき、親への信頼を失うだけです。「叩くことがなぜいけないことなのか?」という考えにまでは行き着きません。自分が実際に叩かれたり、兄弟を叩く姿を見ると、「どうにかしてダメなことだと伝えないと」と必死になりますよね。しかし、叩き返す・やり返すは何も生み出しません。重要なことは、その場が収まることよりも、「叩くことはいけないこと」と子どもにしっかりと理解してもらうことではないでしょうか。
理由を聞かず一方的に叱りつける
我が子が誰かを叩いている場面に遭遇すれば、当然「ダメでしょ!」「何してるの!」とすぐ言葉が出てしまいますよね。しかし、理由もなく手が出たり、叩いたりする子どもはいません。そこで一方的に叱りつけてしまうと、子どもは理由を言えるチャンスを失ってしまいます。また、特に3歳くらいの子どもにとっては、いきなり叱りつけられると「怖かった」という恐怖体験にしかなりません。
威圧的に叱る
子どもの良くない行動を「一発ガツンと叱らないといけない!」という思いから大きな声で叱り飛ばしていませんか?一見すると効果があるようですが、子どもにとっては「驚いて怖い思いをした」という思いしか残りません。また、「ごめんなさいは!?」と謝罪させることを第一義にしてしまいがちです。しかし、例えその場で「ごめんなさい」と言えたとしても、「なぜ謝る必要があったのか」「なぜ自分の振るまいは良くなかったのか」といった本質的な部分は理解できていないでしょう。
笑ってごまかし、流してしまう
子どものやったことだから、と軽く受け流すこともNGです。笑ってごまかすような行動をすると、子どもは「叩いても大丈夫なんだ」と間違った学習をしてしまいます。また、兄弟げんかで叩き合いをしている際に「兄弟同士だと、よくあること」とスルーすることも、子どもの良くない行動を助長させることに繋がります。子どものやっていることだからこそ、エスカレートする前に食い止める必要があります。
泣いたふりをする
筆者が息子の幼少期にやっていた作戦です。良くない例ですが、困った際できるだけ怒らず、泣いたふりをしていました。最初は作戦が効いていました。しかし、ある日、泣いたふりをしていた際にふと顔を上げると、息子がしらけた顔をして立っていたのです。幼児といえど、うそ泣きであると子どもは見抜きます。
また、何度もやっているうちに「いつものことか」と慣れきってしまいます。失敗例として筆者のやったことをご紹介しましたが、子ども自身が泣き真似を覚えるなど、泣いたふりはデメリットもあるため、早急にやめましょう。
(4)【5選】子どもの「叩く」をやめさせるシンプルな方法
簡潔な言葉で制止する
「なぜ叩いてはいけないのか?」その理由をきちんと子どもに伝えたいところではありますが、相手は3歳児です。長々と説明するよりは、まず「短く・簡単に」してはいけない行動であることを本人に伝えましょう。「叩かないよ」「痛いからダメ」など、手短に伝えましょう。
ちなみに、もう少し年齢が上がった際、男の子には「ちゃんとしなさい!」といった抽象的な言葉は通用しないそうです。
例えば、シュークリームの生地をオーブンで焼いていたとします。女の子には「オーブンは開けないでね」と伝えるだけで「ダメなんだな、開けるとママが困るんだな」と察するそうですが、男の子にその表現は通じません。抽象的な表現ではなく「せっかく膨らんできている生地がしぼんでしまって食べられなくなるから、オーブンは開けないでね」と具体的に伝え、腹落ちさせないと本当の意味で理解しないと言われています。
(参考文献:男の子を「伸ばす親」と「ダメにする親」の習慣-著:池江 俊博)
身体を使って制止する
手短に伝える際は、同時に手を押さえるなど身体を使って行動を制止しましょう。子どもが興奮して落ち着かない場合は「ギュッ」と抱きしめるなども良いかも知れません。しっかりと身体を使って制止し、子どもの目を見てしっかりと「NO」を伝えましょう。
叩いた理由を子どもに聞く
言葉で説明することや、相手に伝えることの大切さを学んでもらうためにも「叩いた理由」を子どもに聞きましょう。ここで大切なのは、怒り口調にならないことです。子どもは、「どうして叩いたの!!」「お母さん怒らないから、何でそんなことをしたのか言ってみなさい!!」など既に怒っているママに対して、素直な思いを吐露することはできません。大人でも、既に怒っている相手に対して何かを説明しようと思っても萎縮してしまうのではないでしょうか。とはいえ、3歳ですのでまだまだ言語化が難しい時期でもあります。そのため、親が「○○ということかな?」「▲▲が嫌で叩いちゃったのかな?」と代弁してあげましょう。代弁してあげることで、子ども自身が「こういった時はこんな風に言葉で伝えたら良いんだ」と学習することができます。1回・2回言ってピタッと叩くことを辞められるといったものではありません。回数を重ねるごとにボキャブラリーが増え、自分の思いを自分の言葉で説明できるようになります。忍耐強く接しましょう。
止まらない場合はその場から離れる
「タイムアウト法」をご存知でしょうか。このしつけ方法は、アメリカで子どもに対しよく用いられている手段のうちの1つです。ママ・パパの注意を子どもが聞き入れられない場合、子どもの感情を落ち着かせるためにクールダウンの時間を持たせる方法です。親も子も1人になれる時間を持ちます。時間の目安は子どもの年齢×分です。そのため、3歳児であれば3分間となります。しかし、この「タイムアウト法」は決して子どもへの「罰」として使うことが目的ではありません。子どもへの脅しとして使うことは絶対にNGです。アメリカでは、一度「次に同じ事をしたらタイムアウトを取るからね」と事前に声をかけるそうです。タイムアウトを取ることは罰ではなく、ルールであると理解させるためです。筆者の息子の場合は、叩くこそありませんでしたが、一度泣きはじめるとどんどん泣き声が大きくなって止まらなくなる性分でした。話を聞こうとしても大声で泣いて話が出来ないため、自身のクールダウンで別室に一旦行ったりしていました。この時間は「大人が気持ちを落ち着かせるための時間」でもあります。親も子も一旦離れて気持ちを落ち着かせてから、改めて接しましょう。
親の姿勢に一貫性を持つ
「叩いてはいけない」と言いながら、言っている大人が叩き返したりしていると、子どもは必ず混乱します。一貫性を持った態度を親自身が固持しましょう。「自身を含めた人や物を傷つけてはいけないこと」を何度も伝えることが重要です。時間はかかるかも知れませんが、「身体ではなく言葉で伝えることの大切さ」を子どもに繰り返し伝えましょう。子どもは、同じメッセージを繰り返し受け取ることで将来的に「本当の意味で親の言っていること」を理解できるようになります。
(5)【大前提】体罰は子育ての怠慢と心に刻みましょう
目には目を、は子どもには通じない
子どもが叩いて来たら、同じように叩き返せば、叩かれた人の痛みが理解できるはず――と思われるママ・パパもいらっしゃるかも知れません。しかし、叩き返された子どもが理解できることは「恐怖心」のみです。むしろ、「僕(私)はなぜ叩かれたのだろう」という疑問でいっぱいになり、最も身近で信頼していた大人だった親を信用できなくなってしまいます。目には目を、は全く子どもには無意味なのです。
体罰が与える脳への影響とは
厳しいスポーツ少年団などに所属していたママ・パパの中には「体罰は必要悪である」「私(僕)も監督やコーチに叩かれて育てられてきた」と考えられている方もひょっとしたらいらっしゃるかも知れません。
しかし、現代社会では体罰も法律で禁止されています。体罰(暴力)を受けた子どもの脳(前頭前野―我慢や理性を司る部位。犯罪抑止力)は、体罰を受けなかった子どもの脳と比較して19.1%も萎縮しているそうです。犯罪抑止力に関わる部位が萎縮しているということは、つまり、将来的に非行に走ってしまうリスクが高まるいうことなのです。さらに、体罰を受けることで子どもはママ・パパの顔色を伺い、萎縮するようになってしまいます。健全な親子関係とは言えなくなります。「体罰は子育ての怠慢」といっても過言ではないかも知れません。
(参考記事:日本教育会館―子どもの脳を傷つけないために)
(6)【まとめ】毅然とした態度が子どもの心を育てます!
「お友だちを怪我をさせてしまったらどうしよう」「暴力的な大人になってしまったらどうしよう」など、心配事は多くあると思いますが、3歳児の「叩く」という行動の背景に他者への悪意はありません。自分のやりたいこと・やりたくないことに関する言語化がうまくできず、フラストレーションが溜まった結果、手などが出てしまうといった場合が多くを占めるでしょう。悪意がないとは言いつつも、「叩くこと」は正しい行動ではありませんね。親が毅然とした態度で線引きを行い、具体的な言葉で「NO」を示しましょう。
子どもに根気強く向き合い、繰り返し同じメッセージを伝えることが、子どもの心を正しくまっすぐに育てます!考えすぎず、今この瞬間の子育てを楽しみましょう。
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