【コラム】【3歳児】人見知りは克服すべき?原因や発達障害との違いなどをご紹介
3歳になると、人見知りが始まることが多いですが、これは成長過程の一部です。しかし、どう接すれば良いのか迷うこともありますよね。この記事では、3歳児の人見知りの原因や発達障害との違い、適切な接し方についてご紹介します。お子さんを温かく見守りながら、安心して成長できる方法を一緒に考えましょう。
(1)【3歳児】人見知りの原因とは?
1.環境による変化
2.成長による変化
(2)【性格別】人見知りする子の特徴3選
1.シャイである
2.1人遊びが好き
3.ルーティンワークが好き
(3)【見分け方】発達障害?一過性のもの?
1.場面緘黙症とは何か
2.適切な対応で改善します!
(4)人見知りも個性の1つ?克服はしなくても良い?
1.ありのままを受け容れてあげましょう
2.親の理想の押しつけは禁物
(5)【5選】人見知りする子への適切な接し方
1.人見知り=ダメという声かけをしない!
2.子どもの気持ちを受け容れる
3.子どもの気持ちを代弁する
4.あらかじめ予定を伝えておく
5.保護者が心にゆとりを持つ
(1)【3歳児】人見知りの原因とは?
環境による変化
幼稚園や保育園への入園は、初めての集団生活にお子さんが直面する大きな転機です。普段はママ・パパと過ごしていた時間が、突然知らないお友だちや先生と過ごす時間に変わることで、安心できる場所が減り、戸惑いが大きくなることもあります。新しい環境での不安は、子どもにとって大きなストレスになります。
特に幼稚園や保育園では、家以外の場所で過ごす時間が長くなり、慣れるまでに時間がかかることもあります。 慣れない環境下で集団生活が始まり、中には注意深く様子を観察する子もいるかも知れません。ママ・パパという「安全基地」から唐突に環境が変化することで防衛本能や警戒心が高くなり、結果として「人見知り」が起きてしまうのです。
しかし、東京大学や同志社大学の研究によると、人見知りする子はその反面、「相手に近づきたい」という思いも同時に強く持っているそうです。つまり、「近づきたいけど怖い」という心の葛藤が起こっているということです。根っこから「関わりを持ちたくない」という訳ではないようですね。
(参考文献:*JST戦略的創造研究推進事業 ERATO型研究プロジェクト「岡ノ谷情動情報プロジェクト」(平成20-25年度)による研究論文“Shyness in early infancy: Approach-avoidance conflicts in temperament and hypersensitivity to eyes during initial gazes to faces”)
成長による変化
精神的な成長の変化も、人見知りの原因の1つと言えるでしょう。知らない物や行ったことのない場所、会ったことのない人など「知らない」ということに対しこの頃には恐怖心を覚えるようになります。そのため、その場で固まってしまったり、ママ・パパの側を離れなかったりといった「人見知り」が発動してしまいます。
(2)【性格別】人見知りする子の特徴3選
シャイである
3歳頃は、「他者の認識」が出来るようになる時期です。乳児期と比べても視野が発達するため、「自分」と「他の子」の違いについてはっきりと認識できるようになります。シャイな性格の子どもは、他者を認識して自分との違いを理解できるからこそ、「恥ずかしいな」「どうやって話せば良いか分からないな」といった思いが芽生えます。そのために、黙り込んでしまったり、親の側を離れず一言も言葉を発さなかったりしてしまいます。親がその子のペースを尊重し、無理に集団に参加させようとせず、少しずつ「大丈夫だよ」と伝えていくことが、シャイな子どもにとって安心感を与えます。
1人遊びが好き
この時期は、1人遊びから集団遊びへと遊び方が広がる時期ではあるものの、そのペースには個人差があります。親としては「集団で遊んでほしいな」「自分から声をかけに行けば良いのに」と思うかも知れません。
しかし、1人遊びそのものは全く悪いことではありません。また、子どもは1人で遊んでいても、他の子の遊び方を見たり聞いたりしながら「集団遊び」を学んでいます。無理に集団に入れようとせず、子どもに「今日は何して遊んでた?」とにっこり聞いてあげるだけで充分かも知れません。
ルーティンワークが好き
チャレンジングな子どもがいる一方で、決まったことや知っていることを行うことが好きな子どももいます。様々なことに挑戦するよりもルーティンワークが好きといった子は外に関心が向かないため、結果として人見知りに見えてしまうかも知れません。
(3)【見分け方】発達障害?一過性のもの?
場面緘黙症とは何か
場面緘黙症とは、「場面」という言葉がついているように、特定の場面で話すことが出来なくなる症状です。
例えば、自宅では普通に話せるのに、幼稚園や保育園、習い事といった場面になると話せなくなるという具合です。主に子どもに多い症状ですが、緊張や不安が場面緘黙症の原因と言われています。人見知りとの大きな違いは2点あります。1つめは、場面緘黙症の場合は「話せない」という状態が何ヶ月、何年と続くという点です。そして2つめは、落ち着いて話せる場であっても話せなくなるという点です。
適切な対応で改善します!
場面緘黙症は、周囲が「極度の恥ずかしがり屋」「人見知り」と安易に判断してしまうと発見が遅れてしまい、本人が生きづらさを抱えながら社会生活を送ることになってしまいます。数百人に1人の確率で発症すると言われているため、決して珍しくはありません。「家では話せるのに、幼稚園では丸っきし話さないな」といったことに気付けば、適切な専門機関に行き対処方法を知りましょう。
(参考記事:場面緘黙症とは?-大阪メンタルクリニック)
(4)人見知りも個性の1つ?克服はしなくても良い?
ありのままを受け容れてあげましょう
現役保育士Youtuberのてぃ先生は、「100人いたら100人全員が、自分から遊びに誘うことはない」とお悩み相談室で断言されています。つまり、人見知りも「個性」の1つと捉えられるということです。
はまキッズでは、子どもの苦手なこと・不得意な分野については注意せず、出来たことや頑張ったことに注目してしっかり褒める授業を行っています。苦手なこと・不得意な分野を無理に「平均的に出来るようにしよう」とすると、「できないこと=ダメなこと」という意識に繋がります。さらに、子どもの自己肯定感も下がり、ますますその苦手を遠ざけるようになってしまいます。
逆に、出来たことや頑張ったことを沢山褒めると、子どもは自分に自信をつけます。自信がつくことで苦手だったこと・不得意だったことにも取組んでみようと思え、最終的には出来ないこと等がなくなっていくのです。
ありのままの姿を受け容れ、子どもの個性として認めているうちに、子どもの心は大きく育っていくのではないでしょうか。もし、どうしても積極性を身につけたいのであれば、ママ・パパ自らが家庭で子どもを遊びに誘い、「積極性」のお手本となってあげましょう。
親の理想の押しつけは禁物
さきほどの話と重複しますが、「こうであるべき」「こうであってほしい」という親の理想を子どもに押しつけることはナンセンスです。子どもは親と同じではありません。もちろん兄弟であっても、それぞれが1つの個性を持ち、人格を持っています。「人見知り」をネガティブなものと捉えないことが大切かも知れませんね。親の理想=子どもの幸せである、とは限りません。暖かく見守る気持ちを持ちましょう。
(5)【5選】人見知りする子への適切な接し方
人見知り=ダメという声かけをしない!
克服してほしいあまり、「挨拶しないとダメだよ!」「何で自分から輪の中に入らないの?」といった責め立てる言葉をかけることは厳禁です。当然、挨拶が出来るに越したことはありません。しかし、「ダメ」という言葉を使うと子どもはさらに自信をなくし、挨拶や人と会うこと自体を嫌いになりかねません。「ダメなこと」「いけないこと」といった印象を植え付ける言葉は避けましょう。
子どもの気持ちを受け容れる
まずは、人見知りをする子どもの心情を汲み取ってあげましょう。焦る気持ちから、つい保護者としては「ほら!ありがとうございます、は?」「ちゃんと挨拶して!」と子どもを急かすような言葉をかけてしまいがちですが、それでは子どもは萎縮しかねません。また、急かすように声をかけると御礼の言葉や挨拶の本来の意味を理解できないままに、何となく嫌な印象だけが残ってしまいます。
そのため、まずは「恥ずかしかった」「緊張した」「怖かった」等という子どもの気持ちをそのまま受け容れてあげましょう。一旦は受け容れることで、子どもの状態等を俯瞰して見られるようになります。
子どもの気持ちを代弁する
3歳~3歳半頃には、1500~1700語ほど語彙が増えるようになります。加えて「まんま 食べる」といった二語文から「○○ちゃん ごはん食べる」といった三語文になり、助詞・代名詞も使えるようになります。ボキャブラリーが増える一方で、理性や我慢を司る「前頭前野」はまだ未熟な状態です。そのため、「~したい」「○○ほしい」といった、一方通行で自分の欲求を伝えるものが多く聞かれます。つまり、大人と同じような会話のやり取りが出来る訳ではないのです。自分の言葉で自分の感情を円滑に説明するのはまだ難しく、子どもの中でフラストレーションが溜まるかも知れません。
子どもが人見知りで黙り込んでしまったり、その場で固まってしまった場合には「○○が嫌だったんだね」「~が理由で恥ずかしいと思ったんだね」と、子どもの気持ちを代弁してあげましょう。代弁してあげることで、「ママ・パパは自分の気持ちを理解してくれている」といった安心感を子どもに与えることができます。
また、親が代弁する言葉を子どもが直接耳にすることで、「こういった時にはこういう風に伝えたら良いんだな」と学習することができます。
はまキッズの授業では、言語能力育成として、冒頭に歌を歌います。季節の歌が多いですが、子どもたちはメロディーに合わせて言葉を知り、情景を思い浮かべます。例えば、「汽車ポッポ」の「シュッポ シュッポ」とは、汽車がどんな風に動いているのだろう?といったように、想像力が身につきます。親が子どもの言葉を代弁することと同じように、文字+歌詞+メロディーの3つで、子どもたちは言葉の意味を深く感じ取られるようになり、自分の言葉として覚え、使えるようになります。
(参考記事:【コラム】3歳児の会話レベルとは?3歳児の会話レベルを高める関わり方についても詳しく解説)
あらかじめ予定を伝えておく
「今日は〇時にママのお友だちが遊びに来るよ」といったように、予定を事前にアナウンスしてあげることも人見知りを緩和する手段の1つと言えます。特に、ルーテインワークが好きで、新しいことや柔軟な対応に苦手意識を持つお子さんには有効かも知れません。さらに、どんな友だちなのか(お友だちの特徴など)や仲の良さを伝えることも、より具体的で子どもに安心感を与えるでしょう。筆者の子どもは人見知り自体はあまりしませんでしたが、どこかに出かけたり、人と会う際は必ず「今日は○○ちゃんと会うよ。大学の友だちで仲良しなんだよ」「明日からおうちを離れるよ。和歌山県の動物園に行ってパンダを見に行こうね」など具体的に伝えていました。大人でも、何の予告もなしに人と会ったり、違う場所に行くのは緊張したり、驚いたりしますよね。少しだけ手間かも知れませんが、その一手間が子どもの安心感に繋がるのではないでしょうか。
保護者が心にゆとりを持つ
先述したように、人見知りをネガティブなものとして捉えないようにすることが大切と言えます。ママ・パパの頭に「人見知り=良くないこと」「社交的=良い」というような思いがあると、個性として思えなくなります。人見知りする我が子を見て、「○○ちゃんはお友だちを誘って遊べるのに」「社交的になってほしい」と思い始めると、どうしてもイライラしてして余裕がなくなってしまいます。また、そのイライラは必ず子どもに伝わり、萎縮させてしまいます。
保護者が心にゆとりを持つことで、子どもも初めて「ありのままの自分」を受け容れてもらえたと感じるのではないでしょうか。
さらに、時間管理や荷物の準備も心のゆとりに繋がっています。余裕を持ったスケジューリングを組みましょう。また、遠出の場合はお子様のお気に入りのおやつやオモチャも用意しておくと良いかも知れません。準備を万全にして、どんな状態の子どもも受け容れられるようにしましょう!
(6)【経験談】人見知りを克服する瞬間とは
しかし、はまキッズは「母子同室」です。最初は緊張して教室に入れなかったお子様も、ママが先生と仲良くする姿を見たり、先生がお友だちと楽しく話している姿を見ているうちに、「ママ・パパも一緒の部屋にいるから大丈夫だ」「お友だちも楽しそうだし、ここは安心できる場所なんだな」と印象が変わっていき、授業に入れるようになります。人見知りを克服するタイミングは、「その場(幼稚園や保育園、習い事)を自分の居場所であると思えるとき」、「安心できる場所であると思えたとき」なのではないでしょうか。
人見知りとは少し違う話になりますが、はまキッズにお通いのお子様で、「負けるのが嫌だ」という理由で1年間近くジャンケンに参加しなかったお子様がいたそうですが、1年近く経ったある日、突然ジャンケンに参加してきたそうです。お友だちと先生が楽しくジャンケンをしている姿を見ているうちに「負けてもどうもならないこと」「勝っても負けてもジャンケンは楽しいこと」を理解し、安心したのかも知れません。無理に克服させようとするよりも、安心感と居場所作りが大切だと思えるエピソードですね。
(7)【まとめ】人見知りも成長の過程!ありのままを認めてあげましょう
3歳頃に人見知りが起こる原因などについて解説してきましたが、成長プロセスのうちの1つ・成長の証として、大らかな心で見守ってあげましょう。
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