【コラム】子どものお箸はいつから?開始時期や練習方法・マナーについても解説
子どもが2,3歳になると、「そろそろお箸の練習をさせたほうがいい?」と考える親も多いでしょう。幼児向けのカトラリーには、小さいころから使える練習用のお箸なども売られています。しかし、時期が早すぎると結局はうまく使えない、ということも。
そこで今回は、お箸の練習を開始する目安、無理なく上達するための練習方法などを中心に解説します。これからずっと使うことになるお箸。楽しんで使い方を身につけられるといいですね。
(1)子どものお箸はいつから始める?
1.一般的にお箸がうまく使えるようになるのはいつから?
2.箸に興味を持ち始めたら(2~3歳頃)
3.スプーンやフォークでうまく食べられるようになったら(3歳頃)
4.保育園、幼稚園でお箸を使うようになったら(3~4歳頃)
5.年齢よりも手の発達が進んでいるかが重要
(2)お箸の練習をはじめる前にチェックしておきたいこと
1.親指・人差し指・中指が十分に使えるか
2.グー、チョキがうまくできるか
(3)お箸を持つ前段階として、手や指先の力を高めよう
1.積み木やブロックなど
2.トングや洗濯バサミなど
3.型はめやひも通し、ビーズ通しなど
4.工作、お絵かきをする
(4)正しいお箸の持ち方について
1.下のお箸の持ち方
2.上のお箸の持ち方
(5)お箸の使い方を練習するときのコツ
1.遊びの要素を取り入れて楽しみながら練習する
2.はさみやすい食べ物から練習する
(6)お箸の使い方を指導するときのポイント
1.お箸だけで食べることにこだわらない
2.お箸の持ち方について口うるさく言いすぎない
(7)子どもが使いやすい箸の選び方
1.子どもの手の大きさに合わせる
2.しつけ箸を取り入れる場合は短期間で
(8)間違ったお箸の使い方
1.クロス箸
2.にぎり箸
(9)年齢に応じて、お箸のマナーを教えよう
1.就学前の幼児期はお箸の基本を身につけて
2.小学生からは「嫌い箸」も少しずつ覚えよう
(11)まとめ
(1)子どものお箸はいつから始める?
一般的にお箸がうまく使えるようになるのはいつから?
お箸を使い始める時期は子どもによりそれぞれですが、一般的にうまく使えるようになるのは5歳ごろといわれています。そのころになると手の動きがより精緻になり、上手に扱えるようになるのです。
箸に興味を持ち始めたら(2~3歳頃)
お箸の練習をスタートするには、本人がやる気になっていることが大切です。2~3歳になると、家族の様子を見て「自分もお箸で食べたい!」と興味を持つ子も。その気持ちを大切に、チャレンジさせてあげましょう。もちろん、最初は上手には使えませんが、神経質に教えすぎず見守る姿勢で。「お箸を持てた」「使って食べられた」という達成感や喜びが、次のステップにつながるのです。
スプーンやフォークでうまく食べられるようになったら(3歳頃)
スプーンやフォークを使い始めたばかりだと、上から握るようにして持つ子も多いです。大人と同じように、鉛筆を持つようにして上手に使えるようになれば、手首を動かして食べられているということ。お箸への移行も間近です。
保育園、幼稚園でお箸を使うようになったら(3~4歳頃)
3~4歳頃には、大体の保育園や幼稚園で「お箸を持たせてください」と言われるようになります。早ければ2歳から始める園も。逆にそれまでは、「まだ子どもの手が発達していないので、お箸は使わせません」といわれる場合もあります。家庭でお箸への興味がなかなかわかないようであれば、園と同タイミングでスタートするといいかもしれません。
年齢よりも手の発達が進んでいるかが重要
結局、お箸を使い始めるタイミングは子どもそれぞれ。何歳から、というよりも、お箸をうまく扱える手指かどうかがポイントになります。手指が発達していれば、幼くても上手に使うことができるでしょう。
では、手指の動きは具体的にどんな点をチェックすればいいのか、次章で説明します。
(2)お箸の練習をはじめる前にチェックしておきたいこと
親指・人差し指・中指が十分に使えるか
箸は親指と人差し指、中指を使って動かします。この3本が十分に動かせないうちは、まだお箸を使うには早い、といえます。洗濯場ばさみのようなやや硬いものが上手に開け閉めできるか試してみましょう。
グー、チョキがうまくできるか
お箸を持つ手は、薬指と小指を曲げたチョキに近い状態です。手を握ったグーからチョキへ、無理なくさっと形を変えられるようであれば、お箸にチャレンジしてみてもいいでしょう。チョキから親指を伸ばした状態で保てるかも確認を。
(3)お箸を持つ前段階として、手や指先の力を高めよう
積み木やブロックなど
どの家庭にも一つはありそうな積み木やブロック。積み重ねて形を作るため、手や指をよく動かします。ブロックは取り外すために指先にぐっと力を入れることも鍛錬のひとつに。
0,1歳から遊べる大きめのブロックもあるので、検討してみてもいいでしょう。
トングや洗濯バサミなど
料理の取り分けに使うトングや洗濯バサミなど家事のアイテムも、親指、人差し指、中指の3本を使う練習にピッタリ。トングでままごとをしたり、洗濯バサミをつなげて形を作ってみたりも、楽しい遊びになります。
型はめやひも通し、ビーズ通しなど
簡易なパズルや型はめも楽しみながら手先を鍛えられます。パズルに突起のついたものは、自然とつまむ動作につながります。
ひも通し、ビーズ通しは、木製の積み木に穴が開いたようなおもちゃが販売されています。大き目のパーツなら飲み込む心配もなく赤ちゃんから使えます。
工作、お絵かきをする
工作やお絵かきも、手を使う遊びとしておすすめ。2~3歳であれば、紙をちぎって貼る、丸めるといった簡単な工作から始めるといいでしょう。徐々に手先が器用になると、ハサミなど道具もうまく使えるようになります。
(4)正しいお箸の持ち方について
下のお箸の持ち方
手は軽く握った状態に。下側のお箸を、親指と人差し指の根本と、薬指の爪の横で支えます。持つ位置は、お箸の頭から約3分の1あたりに親指を置くのが使いやすいとされています。
上のお箸の持ち方
上側のお箸は、親指と人差し指、中指で鉛筆のように持ちます。先に上側を持ち、下側のお箸を差し込むように持っても構いません。上下のお箸の長さをそろえたら、動かしてみます。動かすのは上のお箸だけ。開いたり閉じたりの練習をしてみましょう。
(5)お箸の使い方を練習するときのコツ
遊びの要素を取り入れて楽しみながら練習する
おままごとの中でお箸を使って料理を盛り付けたり、食べたり。また、お箸で豆をお皿へ移す競争をするなど、遊びの中でお箸に親しむようにすれば、楽しみながら使い方を身につけることができます。
はさみやすい食べ物から練習する
いきなり細かな豆や、柔らかい食べ物などをお箸でつかもうとしても難しく、挫折してしまうかもしれません。しっかりした高野豆腐や、すべりにくいブロッコリーなどから挑戦してみるといいでしょう。挟みやすい大きさや形状で調理してあげるといいですね。
(6)お箸の使い方を指導するときのポイント
お箸だけで食べることにこだわらない
お箸を使い始めたときは、うまくできずに途中であきらめてしまうかもしれません。そんなときに無理やりお箸を使わせようとすると、お箸が嫌いになってしまうことも。難しそうであればスプーンやフォークに切り替えを。少しだけであっても、「お箸を持って食べられたね。また今度がんばろうね」とほめてあげてください。
お箸の持ち方について口うるさく言いすぎない
いきなり完璧にお箸を使える子どもはそうはいません。持ち方をはじめ、指し箸、迷い箸、探り箸など嫌い箸(お箸のNGマナー)もあるでしょう。それらをいちいち細かく指摘していると、食事が楽しくなくなってしまいます。
教えることはその都度1つにして、あまり何度も口うるさく言わないように気を付けましょう。
(7)子どもが使いやすい箸の選び方
子どもの手の大きさに合わせる
手は軽く握った状態に。下側のお箸を、親指と人差し指の根本と、薬指の爪の横で支えます。持つ位置は、お箸の頭から約3分の1あたりに親指を置くのが使いやすいとされています。
しつけ箸を取り入れる場合は短期間で
指を入れるリングのついたものなど、お箸の練習のための「しつけ箸」も多種販売されています。これらは、指を入れるだけで正しい位置で持てるようにできていて、お箸で上手につかめた、という成功体験を得られやすいもの。
ただ、指の力が弱くてもつかめたり、固定された動きしかできなかったりで、いざ普通の箸にしたときにうまく扱えないことも。しつけ箸を使うなら短期間とし、慣れてきたようであればリングのない指の位置がへこんでいるようなサポートの少ないお箸へ、または普通のお箸へと移行していきましょう。
(8)間違ったお箸の使い方
クロス箸
クロス箸とは、上側と下側のお箸が交差している状態の持ち方。上側のお箸が3本の指でしっかり支えられていないために起こります。
にぎり箸
2本のお箸を上からグーで握るようにする持ち方です。スプーンでこのような持ち方をしていたのが、そのままお箸に移し替えられてしまったのかもしれません。今一度スプーンで鉛筆の持ち方ができるように練習させてあげましょう。
(9)年齢に応じて、お箸のマナーを教えよう
就学前の幼児期はお箸の基本を身につけて
この時期は、とにかくお箸が上手に使えるようになることに注力しましょう。その中で、お箸で遊んだり食器を叩いたりしないこと、食事中はお箸を持つ手と反対の手を器に沿えることなど、基本的な食事のマナーを身につけられるように教えていきます。
小学生からは「嫌い箸」も少しずつ覚えよう
小学生になり、お箸の持ち方もきちんと身に付いたようであれば、もう少し上級のマナーも教えてあげましょう。お箸の使い方には、嫌い箸、忌み箸などといわれるNGマナーがいくつかあります。子どもによくありがちなのは、食材にお箸を突き刺す「差し箸」。刺さないで挟むようにするのが正しい取り方です。また、お椀などの上に箸を渡す「渡し箸」もついやりがち。箸置きを用意して、使わないときはそこに置くようにするといいですね。
そのほか「迷い箸」「涙箸」「ねぶり箸」「寄せ箸」などたくさんありますが、一度に説明しても覚えきれません。気になったときに一つずつ教えてあげるといいでしょう。
「自分も把握できていないかも」という人は子どもと一緒にマナーを確認して、家族みんなでキレイにお箸を使えるようにチャレンジしてみては。
(10)お箸の持ち方は子どもの評価にも影響する
しかし、「どうしてきちんとお箸を使えないとダメなの?」という疑問を子どもから投げかけられるかもしれません。その答えのヒントとなるのは、次のようなことでしょう。
ひとつは、食事は自分だけではなく誰かと一緒に食べることも多いもの。お箸がうまく使えていないと、人によっては不快に感じることもあります。正しくきれいな使い方であれば、周りの人に違和感を抱かせることなく、気持ちよく食事が進められます。
また、箸の使い方が人の印象に関わることも。正しい箸の使い方ができている人は、きちんとしていそう、上品そう、といった印象ですが、間違った使い方だと、マナーがなっていない人、だらしない人、というように、悪い印象を持たれかねません。
大きくなってから子どもが困らないように、幼いうちから正しい持ち方、マナーを少しずつ身につけていきましょう。

(11)まとめ
親はあまり前のめりになりすぎず、ゆっくり楽しく進めていくことを心がけましょう。かわいい箸置きやお気に入りのキャラクターのお箸を使うのもいいかもしれません。「お箸で食べるのは楽しい」「使えたらかっこいい」と思えるようになると、自分からがんばってトライすることができるでしょう。まずは親自身がきれいなお箸の使い方や姿勢などを実践することも大切ですよ。
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