【コラム】親の心配事の9割が杞憂!【言葉が遅い子】むしろ頭が良い可能性も?
子どもの言葉の発達を心配したり、気にするお父さん・お母さんは非常に多いのではないでしょうか。本文では、子どもの「言葉の発達と頭の良さ」の関連について解説・説明します。
現在不安を抱えている方も、ぜひリラックスして読んでみて下さい。
(1)言葉の発達が遅くても頭が良い子はいます!
(3)【年齢別】子どもの言語の発達
1.0~1歳頃
2.1~2歳頃
3.2~3歳頃
4.3歳以降~
5.小学校入学以降
(4)【5選】子どもの言葉が遅い理由
1.子の性格や環境によるもの
2.言葉に触れる機会が少ない
3.言葉の理解ができていない
4.聴力や脳の機能の影響
5.単純性言語遅滞
(5)【ギフテッド】の可能性も?
1.ギフテッドとは?
2.ギフテッドは個人差が大きい
(6)【5選】親が子どもの言葉を増やす方法
1.子どもとの会話を増やす
2.子どもの思うように行動させる
3.童謡など歌を一緒に歌う
4.実況中継をする
5.間違いを指摘しない
(1)言葉の発達が遅くても頭が良い子はいます!
(2)言葉が早い=学力が高い ではない!
この研究では、言葉の遅い子どもを17歳まで追跡調査しました。結果として、学力テストの得点は特段に悪いとは言えなかったそうです。言葉の遅れでは下位10%に入るものの、17歳時点でのIQテストで下位10%に入る子どもはいなかったと証明されています。
また、別の研究では「言葉の遅いグループ」「言葉の早いグループ」に子どもたちを分けて言語能力を測定しました。その研究では、言葉の早いグループの平均点は遅いグループの平均より6点高い一方、グループ内では大きなばらつきがあることが分かりました。得点の分布で言葉の遅いグループと早いグループに重複している部分が多く見られ、個々のばらつきは平均の差を完全に圧倒しています。つまり、言葉の早さは将来を約束するものではないということです。そのため、「うちの子は言葉が遅いから勉強が心配」といったお悩みは杞憂と言えます。
反対に、早い時期から言葉が話せていても、必ずしも文字が早く読めたり、色んなことが達成出来るといった決定因子にはなりません。言葉の早さと学力は無関係なのです。
(参考文献:米国最強経済学者にして2児の母が読み解く子どもの育て方ベスト)
(3)【年齢別】子どもの言語の発達
0~1歳頃
子どもは、生後2ヶ月頃からクーイングといわれる「あー」「うー」といった柔らかい言葉を発するようになります。話せば話すほど赤ちゃんの声帯は発達していきますが、生後5・6ヶ月を迎える頃にはクーイングが「ばばば」「あぶ」といった喃語に変化していきます。空気や音の調整が少しずつできるようになり、1歳頃には「ぶーぶー(車)」「わんわん(犬)」といった意味のある一語文を話せるようになります。
1~2歳頃
1歳半から2歳頃になると、一語文から「まんま、いや」「ママ、こっち」など二語文に変化します。意味のある言葉が続くことで、親も子どもが何をしたいのか(してほしいのか)が何となく理解できるようになります。
2~3歳頃
2歳から2歳半くらいになると、三語文に変化します。具体的には、「パパ お仕事 行く」「ママ ごはん ちょうだい」などです。
3歳以降~
この時期になると、主語や述語を含んだ言葉を話すようになります。一方で、「なぜなぜ期」「イヤイヤ期」でもあるため、「何で?」「どうして?」という言葉が増える時期でもあります。全ての「何で?」に対して、その場ですぐ答えなくでも大丈夫です。あとで調べて、正しい情報をきちんと伝えてあげることで子どもの知識や言葉の数がまた増えていきます。
(関連記事:►【コラム】3歳児の会話レベルとは?3歳児の会話レベルを高める関わり方についても詳しく解説
►【コラム】幼児教室の講師が解説!我が子が2歳の今、親がすべき3つのこと
小学校入学以降
5歳以降は、自分が体験したことを言葉にして相手に伝えられるようになります。また、保育園や幼稚園以上に他者との関わりが増えるため、コミュニケーションを通して「どの場面でどういった言葉が適切か」「言ってはいけない言葉は何か」などを学んでいきます。
(4)【5選】子どもの言葉が遅い理由
子の性格や環境によるもの
お喋りが好きで活発な子もいれば、内向的でおとなしい子もいます。子どもの性格は多種多様、個性豊かです。内向的な子であれば、自分から積極的に話しかけることは少ない傾向にあります。言葉を発さなくてもこちら側のアクションに反応があるなど、言われていることをきちんと理解しているような様子が見られた場合は、特に問題はないと言えます。
また、後述しますが【親が何でも先回りしてやってしまう「ヘリコプター・ペアレント」】だった場合も、子どもは言葉を発する機会を失っているでしょう。
言葉に触れる機会が少ない
筆者が息子を産んだ当時、ちょうどYoutubeが流行り始めた時期でした。
Youtubeの映像・音声は子どもにとって刺激が強く、息子も例外なく夢中になっていましたが、「言葉に触れる」といった意味ではあまり役立たなかったかも知れません。
Youtubeなど、映像メディアは受動的な視聴がメインとなっています。zoomなどリアルタイムでお互いに話が出来るツールと違って一方的な発信となるため、子ども自身が言葉を使って誰かとコミュニケーションを取ることは難しいと言えます。
言葉の理解ができていない
言葉と対象物がイコールで結びついていない場合です。赤ちゃんがママやパパといった言葉を最初に発することが多い理由は、いつも親と一緒にいるためです。ともに過ごす時間の中で、「ママはこの人、この人はパパ」と脳内でイコールとして繋がっていきます。
はまキッズの授業では「教養カード」という学具を活用し、「物には必ず名前がある」ということを子どもたちに伝えています。子どもたちは、教養カードを活用した学びの中で「物の名前と見た目」が一致していきます。「飲み物」「食べ物」「動物」といった大きなくくりから言葉を習得することは難しいため、具体的な、身近に存在するものから説明しています。
聴力や脳の機能の影響
身体的な問題も考えられます。物音に反応しない、呼びかけに応じないといった場合は聴力に何らかのトラブルがあるかも知れません。また、2~3歳を過ぎても言葉が出てこない場合、脳の機能に何らかの原因がある可能性があります。市役所の保健師や療育センターなど専門機関に相談してみましょう。
単純性言語遅滞
単純性言語遅滞とは、聴力や脳の機能に何の障害も無く、言葉の発達が単に遅れている状態を指します。他の発達面で問題が無いため、成長するにつれて自然と話せるようになると言われています。有名な話としては、芸能人の岡田准一さんが「3歳頃まで言葉を全く発さなかった」と自身の子ども時代を語られています。初めて発した言葉は親の会話を聞いた際の「それは違うと思う」だったそうです。「違う」と感じたのは親の話している内容が理解できていたからこそではないでしょうか。岡田准一さんの場合は、まさしく「単純性言語遅滞」だった可能性が高いですね。
(5)【ギフテッド】の可能性も?
ギフテッドとは?
ギフテッドとは、生まれながらにして突き抜けた才能や能力を持っている人々です。
ギフテッドという言葉には、「特別な才能を授かった人」という意味が含まれています。
有名人で言えば「Mr.ビーン」で知られているローワン・アトキンソン氏、日本の巨匠・北野武氏が挙げられます。歴史上の偉人では、アルベルト・アインシュタインがギフテッドと言われています。子どもの頃から同年代の子たちと比較して「著しく」高い認知能力(IQ130以上など)を持っている一方で、苦手分野や興味・関心の無い分野との差も激しく、生きづらさを抱える人も少なくないのが特徴的です。
ギフテッドは個人差が大きい
「ギフテッド」は一言で言い表すには難しく、その特徴や能力は十人十色です。
特定の分野に突出しているかと思えば、ある分野が著しく苦手だったりします。
個人差が大きく個性が強いのもギフテッドの特徴と言えるため、ギフテッドの子どもたちの支援は親の理解が必要不可欠となります。突出する能力をさらに伸ばす機会を親が与え、その子の個性を受け入れ、枠に囚われない様々な経験をさせてあげましょう。
(関連記事:【コラム】ギフテッド教育とは?特徴や事例とともに紹介します!)
(6)【5選】親が子どもの言葉を増やす方法
子どもとの会話を増やす
子どもが話す・話さないに関わらず、まずは積極的に親から話しかけてみましょう。
特に、乳幼児は耳に入った言葉から言語を習得していきます。
「今日は雨がザーザー降っているね」「今日は太陽がサンサンとしているね」「もう夕方でお日様が沈んでいったね」など、子どもに説明しながら話しかけると「目で見たもの」と「言葉」が脳内でリンクづけられ、意味のある言葉として使えるようになります。
子どもの思うように行動させる
先述した「ヘリコプター・ペアレント」という言葉をご存知でしょうか。
1990年代にアメリカで生まれた言葉ですが、ホバリング(※上空でヘリコプターが停止飛行すること)するヘリコプターのように子どもを上空から監視し、何かあればすぐ子どもの元に飛んでくる親を指す言葉です。ヘリコプター・ペアレントの弊害は、子どもの自立力や問題解決能力を削ぐことにありますが、言葉の発達にも大きな影響があります。
親が先回りして何でもやってしまうことは、子どもの「自分の言葉で要求を伝える」機会を奪うことにもなります。言葉を発する前に親が先読みして何でもやってしまうと、子どもは言葉を発する理由もなくなってしまうのです。さらに、自分の力で自分のやりたいことが出来なかったことによって「自己肯定感」の低下も招きかねません。
ですので、先回りしたい気持ちをぐっと抑え、「どうしたの?」「何がしたいと思ったの?」など問いかけてみましょう。敢えて親が行動を起こさないことで、子どもは「どうすれば伝わるのか?」を自分で考え、自分の言葉で伝えられるようになります。
最初はうまく伝えられなくても、「○○かな?」などヒントとなる声かけを行うことで、最終的に「どんな時にどんな言葉を使えば良いのか」を少しずつ理解できるようになります。
童謡など歌を一緒に歌う
歌を一緒に歌うことも、子どもの言葉を増やします。はまキッズの授業では、授業の最初に童謡唱歌を取り入れています。歌詞カードは、あえて漢字に「ふりがな」をつけていません。これは、「漢字」と「言葉の意味」をセットで覚えてほしいという思いからです。
例えば、「あつい」といっても「厚い」「暑い」と様々な意味や漢字があります。
つまり、ひらがなで「あつい」と書くと意味が伝わりづらくなるのです。
また、小さい頃から歌詞カードの歌詞を追いかけながら歌うことで、年長頃には自然と漢字を読めるようになるというメリットもあります。
童謡には、「桜」「どんぐり」「川」「山」など四季を感じられる言葉も沢山あります。
お風呂の中や、お出かけした際など折を見て一緒に歌ってみましょう!
実況中継をする
先述した「子どもとの会話を増やす」の具体的な中身になりますが、リアルタイムで目に入っているものや子どもの状態について、会話を通して実況中継してあげましょう。
例えば「今日は空が青いね」「太陽が出て晴れているね」など、実際に子どもと一緒に空を見上げながら状況説明します。そうすると、子どもの頭の中で「太陽が出ていると「晴れ」と言うのか」といった具合に紐付けて覚えるようになります。
はまキッズの授業でも、講師は生徒に「教える」ことはしません。子どもがやっていること、やりたいと考えていることを実況中継(代弁)することで子ども自身に気付かせます。
例えば、パズルの授業では「長さがピッタリ合うと思って、そこにパズルを置いたんだね」など声かけをします。そうすると、子どもの中で「長さが合うとは、どのような状態か?」「ピッタリとはどういう場面で使う言葉か?」などが腹落ちするのです。
腹落ちできると、次の授業で「ピッタリにしたいけど、できない」など子どもが言葉で自分の困っていることを説明できるようになります。
間違いを指摘しない
一番大切なことは、「子どもが話そうとする姿勢」「自発的に話そうとする前向きさ」を親がまるっと受け容れることです。子どもの言い間違えは、成長とともに自然と修正されていきます。子どもによくある言い間違えとして、「とうもろこし」を「とうもころし」と言ってしまう場合があるかと思います。子どもが言い間違えたとしても、まずは親に対して一生懸命に話そうとしてくれたことを受容し、褒めてあげましょう。
ちなみに、筆者の息子は「ポップコーン」が上手く言えず「コップコーン」と言っていました。映画館でポップコーンを注文する度に言っていましたが、気がつけばいつの間にかきちんと話せるようになっていました。
(7)【まとめ】子どもの発達を優しく見守りましょう!
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