【コラム】子どもの社会性を育む環境と親の特徴とは?将来のエリートになるために
(1)「社会性」とは何か?
(2)【年齢別】社会性はどのように育つ?
1.0~1歳頃
2.2~3歳頃
3.4~5歳頃
4.小学校入学以降
(3)【5選】子どもの社会性が育つ環境と親の特徴とは?
1.親との関わり・スキンシップが多い
2.他者と関わる機会がある
3.社会性が高まる遊びを取り入れている
4.子どもの「得意」を伸ばしている
5.子どもをしっかり褒めている
(1)「社会性」とは何か?
結論からお伝えすると、社会性とは「他者と上手く関わりを持ち、社会集団の中で生活を営むことができる力」です。人間は1人では生きることができません。ですので、必ず他者との関わりの中で生きていくことになります。他者との関わりで必要なスキルとして、コミュニケーション能力や協調性、リーダーシップ、思いやりの心(配慮)、責任感などが代表として挙げられるでしょう。また、「社会性」と「社交性」はよく似た言葉ですが、社会生活を営むスキル(=社会性)のうちの1つに、他者との交流を積極的に好む性質として「社交性」が含まれている点で、意味合いが異なります。
(2)【年齢別】社会性はどのように育つ?
0~1歳頃
0歳頃は、いわゆる乳児期です。親からの愛情・スキンシップ(抱っこや授乳など)を与えることで子どもの情緒が安定し、子どもは親への信頼を厚くしていきます。
みなさんは「オキシトシン」という言葉を聞いたことはありますでしょうか。別名、「幸せホルモン」と呼ばれています。オキシトシンはスキンシップを通じて親子双方に分泌されますが、親と沢山触れ合った赤ちゃんは記憶力が高まり、ストレス耐性がつくと言われているそうです。
生後1年以内のスキンシップが特に効果的で、脳自体がオキシトシンを出しやすい仕組みに変わるため、記憶力の高さやストレス耐性は一生ものになります。記憶力や、どんな環境でも適応できるストレス耐性も、社会性の1つと言えますね。
2~3歳頃
2、3歳頃になると「イヤイヤ期」がやってきます。
イヤイヤ期とは、「自分はこうしたい」といった自我が芽生える時期です。頭と身体が発達して自分で出来ることが増える一方で、理性や我慢を司る前頭前野が未熟な時期でもあります。そのような時期なので、親が「なぜしてはいけないのか」等を言い聞かせて子どもに理解させ、しつけることで社会性の土台(我慢する力・モラル等)を築き上げていきます。
4~5歳頃
この頃には自分自身と両親だけでなく、幼稚園や保育園のお友達(=他者)にも視野が広がるようになります。そのため、集団生活の中で他者とコミュニケーションを取るようになります。今までは1人でおもちゃ遊びをしていたところが、複数人での遊びを通じて他者との関わりや相手の気持ちなどを学んでいきます。
小学校入学以降
小学校に入学すると、今まで以上の大人数で過ごすことになります。集団の規模が幼稚園などより大きなものとなるため、約束事や譲り合いの精神を学んでいくこととなります。
文部科学省ホームページ「子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題」によると、小学校低学年時には「人として行ってはならないこと」についての知識と感性の涵養、社会のルールを守る態度といった善悪の判断、規範意識の基礎作りをすることが重視すべき課題として挙げられています。
(3)【5選】子どもの社会性が育つ環境と親の特徴とは?
親との関わり・スキンシップが多い
国連では、社会の基本単位は「家族」であると定義しています。子どもは「人との繋がり」や「人との関わり合い」を自分の家庭から学んでいきます。また、子どもにとって親は最も身近で信頼できる大人と言えます。
つまり、家庭とは「社会性を育む土台」なのです。親との関わりやスキンシップなしに、子どもの社会性は育ちません。ですので、お母さん・お父さんは乳児期の頃から積極的に笑いかけたり、歌を一緒に歌ったり、頭をなでてあげたりしてあげましょう。
筆者の子どもは小学生ですが、朝起きた時や寝る前、帰宅したタイミング等で挨拶とともに必ずハグをします。子どもは抱きしめられることで安心感が生まれ、先述したオキシトシンが分泌されます。笑顔で話しかけられたり、触れられると子どもは情緒が安定します。情緒が安定することで他者への信頼感も高まり、最終的には社会性の成長へと繋がるのです。
共働きで子どもと接する時間が足りなく感じているお母さんも多いかと思いますが、だからこそ数秒で出来るスキンシップを日常生活で取り入れてみませんか。
他者と関わる機会がある
保育園や幼稚園に入園すると、今まで「親と子」だけだった人間関係が一気に広くなります。つまり、他者と関わる機会が増えるということです。関わる大人も、先生や習い事の講師など親以外の人が増えていきます。2~3歳頃は前頭前野が未熟で理性や我慢が難しいところがあるため、おもちゃの奪い合いなどのトラブルも生まれます。
しかし、ここはできるだけ見守るのがベターです。この時期に対立したりすることで、子どもは相手の気持ちや他者という存在を考えられるようになるためです。相手を尊重し、思いやったり、譲り合ったりする心はまさしく「社会性」です。お友だち同士のトラブルも、学びの過程、健全な心の成長に必要な過程として前向きに捉えましょう!
また、地域の集まりに参加したり、近所を散歩することもオススメです。地域や家庭、親族等といった多種多様な人間関係の中で様々な体験をさせてあげましょう。その体験を経て、子どもたちは年齢なりの規範意識や協調性・忍耐力を身につけていきます。社会性をより一層育てるためにも、異年齢交流・地域交流を大切にしていきましょう。
社会性が高まる遊びを取り入れている
年齢別に様々な遊びがありますが、子どもは遊びを通じて社会性を身につけていきます。例えば、遊びにはルールがありますが、「ルールを聞く・守る・お友だちに伝える」ということは「人の話を聞く・約束を守る・人に話す」といった他者との関わりや社会生活を送る上で必要なスキルに直結します。また、年齢が上がっていくと複数人で「ごっこ遊び」などで遊ぶようになります。それぞれの役割を決めて他者と協力し合ったり、共通の目的を持ったりするため、協調性やコミュニケーション能力が自然と身につきます。5歳以降になると、ごっこ遊びで使うオモチャにもこだわりを持つようになります。より再現性の高い素材や道具を用意してあげると良いかも知れません。
子どもの「得意」を伸ばしている
人から「お子さんの長所は?」と聞かれた際、いくつお子様の長所を挙げられますか?
子どもを日頃からよく観察し、長所から「得意」を伸ばしてあげましょう。
我が子を見る際はどうしても「短所」に目が行きがちです。また、苦手なこと・不得意なことに対して親は「平均的には出来るようにさせたい」と克服することに意識が向いてしまいます。しかし、親が短所と思っている部分も、視点を変えれば長所になります。「のんびりした性格」は「気が長く大らか」と言い換えられます。「落ち着きがない」は見方を変えると「エネルギッシュで行動的」です。「短所」ではなく、豊かで楽しい「個性」と言い換えることができます。
「強み」を育てると、子どもの「自信」が育ちます。自信は自主性や積極性を生み出し、親が無理矢理させなくとも、お子様自身で苦手なことや出来なかったことに挑戦するようになります。
つまり、自信を育てるということは、自主性や積極性といった社会生活で求められる部分も育つということです。ところが、苦手克服に重きを置くとどうでしょうか。
当然、嫌なことなのでお子様は拒否反応を示します。また、決して得意なことではないので失敗する可能性も高いです。「やっぱりダメだった」と自信を失い、ますますやらなくなる・・・といった悪循環に陥ります。
「強み育て」には、その子ども1人ひとりに合った習い事をさせてあげましょう。
長所を強みとして活かし自信をつけさせる好サイクルが、自主性や積極性といった社会生活で必要な力を育むことになるのです。
子どもをしっかり褒めている
1日の中で、お子様を叱ることと褒めること、どちらが多いでしょうか。
先述した「強み育て」にも共通しますが、長所や得意分野、「できたこと」に意識をフォーカスして下さい。そうすると、お子様の「褒めポイント」や頑張っている姿が沢山見えてくると思います。
大人にとって「出来て当たり前」でも、子どもにとって決して当たり前ではありません。年長さんでも、この世に生まれてたった5・6年です。そう考えると、お子様に対する許容範囲が広がるのではないでしょうか。
「できたこと」のみに注目して褒めてあげることで、子どもは萎縮することなく、のびのびと本来の力を発揮します。褒める際は、思い切り褒めてあげて下さい!
信頼できる身近な大人から褒められることで「自信」と「自己肯定感」が育ち、子どもたちにより高い社会性が身についていくのです。
(4)子どもを【真のエリート】にするために
「エリート」と「社会性」、関連性が薄いように感じる方も多いのではないでしょうか。
ところが、この2つの言葉は大変深く関連しているのです。多くの人が「エリート」と聞くと、「社会の中で優秀とされる人間や集団」といったイメージを抱かれるのではないでしょうか。良いイメージよりは、むしろバイアスのかかった印象があるかも知れません。
しかし、エリートの本来の意味は「自分の利害得失と関係なく他人や物事に尽くせる人」という意味だそうです。
言葉の起源はラテン語で「神に選ばれし者」という意味です。
「神様に選ばれる」ということは、イエス・キリストが神様に選ばれ、他人のために死んだように、「他人のために死ぬ用意ができている」ということだそうです。
冒頭でお伝えしたように、社会性が高いということは「他者と上手く関わりを持ち、社会集団の中で生活を営むことができる力」があるということです。ですので、自分の利害得失よりも周囲を尊重し、自分にできるアクションを起こす人は皆、エリートと言えるのです。
はまキッズでは「未来のエリートを育てる」という目標を掲げ、日々お子様と向き合っております。他人のために行動できる人、心豊かで思いやりのある人-私たちが関わったお子様全員が、未来の日本のエリートとなるよう願っております。
(5)【まとめ】社会性を育んで、子どもの人生を豊かにしましょう!
社会性とは、言い換えると【非認知スキル】です。
【非認知スキル】とは、協調性や忍耐力、責任感、自主性、積極性など社会集団での生活を送るために必要な能力をまとめた表現です。
アメリカの経済学者であるジェームズ・ヘックマン教授の研究によると、「幼児教育には、認知スキルよりも「非認知スキル」が高まる効果がある」ということが判明しています。
さらに、「幼児期に適切な教育を受けた子どもは、受けなかった子どもよりも将来的に、学歴的にも経済的にも豊かであった」という結果も出ているそうです。
つまり、社会性を育むということは、子どもの人生そのものを豊かにするということなのです。損得勘定なしに他人や物事に尽くすことができる人は、当然周囲からも大切にされ、愛されることでしょう。社会性を育み、「未来のエリート」を生み出しましょう!
関連記事