【コラム】3歳児の食事で大切なことは?基礎知識や食事マナーの伝え方まで解説
「今まではパクパク食べていたのに、急に食べるのが遅くなった」「好き嫌いが多くなった」など、3歳の食事で悩む親は少なくありません。動きが活発になり、体もどんどん成長する時期、親としては食事で栄養をしっかりとってもらいたいところですね。
そんな家庭に向けて、3歳の食事を考えるうえで大切なことや摂取カロリーの目安、不足しがちな栄養素、悩みの対策アイデアなどをまとめて紹介します。ぜひチェックしてみてください。
(1)3歳児の食事に関する基礎知識
1.3歳児の食事で大切なことは?
2.3歳児のカロリーや食事量の目安
3.3歳児に必要な栄養素とは?
4.3歳児の食事時間の目安
5.3歳児のメニューや味付けのコツ
(2)3歳児の食事の悩みと対策アイデア
1.子どもがなかなか食べない
2.好き嫌いが多い
3.食事中に遊びはじめる
(3)お箸の準備について
1.お箸を使い始める時期
2.お箸選びのポイント
3.お箸の正しい持ち方
(4)食事での約束やマナーを伝える
1.3歳で身につけたい食事のマナー
2.食事のマナーは親が手本を示して
(5)まとめ
(1)3歳児の食事に関する基礎知識
3歳児の食事で大切なことは?
3歳は自我が芽生え、好き嫌いもはっきりしてくる時期。また、さまざまなことに興味が向く年齢なので、食事に集中するのが難しい場合もあります。そんな3歳児に必要なのは、食事に関心を持たせること、食べる行為自体を楽しむこと、そして食事の雰囲気を楽しいものにすることです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
食への関心を高める
まずは、食べ物への関心を高めていきましょう。いわゆる「食育」のスタートです。子どもが親しみやすい絵本は食育に役立つアイテムです。旬の野菜が登場するもの、料理を題材としたものなどを選んで読み聞かせてあげましょう。おせちや月見団子など行事に関連した食事も、興味を持たせるきっかけのひとつ。そのほか、買い物に連れて行って一緒に食材を見たり、野菜を洗うなど簡単な調理を手伝わせたりするのもいいでしょう。
食材や料理に興味を持つことで、「食べてみたい」という気持ちが高まっていきます。
食べることを楽しむ
3歳頃になると、20本の乳歯が生えそろう子も多数。以前よりもしっかりと噛めるようになり、さまざまなものを食べられるようになります。
「これはどんな食感かな?」
「カリカリしておいしいね」
など、噛むことや食感を楽しめる声掛けをしてみましょう。子どもの反応を見る中で、好きな食べ物や食感も見えてきます。
〝共食〟を心がける
独りで食事をする〝孤食〟に対し、家族や友人と一緒に食事をすることを〝共食〟といいます。家族で楽しく話をしながら、おいしく食べること。その雰囲気こそが、食事をプラスのイメージにしてくれるのです。食事時はできるだけ家族が顔を合わせ、スマホやテレビを見るのではなくコミュニケーションを取るようにしましょう。今日のできごとを話したり、「おいしいね」と言い合ったり。楽しくあたたかい雰囲気の食卓では、子どもも自然と食が進むはずです。
「いただきます」「ごちそうさま」といったあいさつや、食事のマナーを教える機会にもなります。
3歳児のカロリーや食事量の目安
3歳はどの程度のカロリーや食事量を取ればいいのか、その目安も知っておきたいところ。
厚生労働省によると、3~5歳に必要な一日のエネルギー量は男児が約1300㎉、女児が1250㎉となっています(※)。大人の2/3程度と考えましょう。一度に食べられる量は少ないので、間食で補ってもOKです。その場合は砂糖たっぷりの物ではなく、おにぎりやふかし芋、ヨーグルトやチーズといった乳製品など栄養を補えるものを、時間を決めて与えるようにしましょう。
(※)厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
3歳児に必要な栄養素とは?
大人と同様、あらゆる栄養素をバランスよく取ることが大切です。そうはいっても、不足しがちな栄養素もあります。お肉や魚から得られるタンパク質、乳製品や小魚などに含まれるカルシウム、肉や魚のほかホウレンソウなどの野菜から摂れる鉄分などです。
麺やどんぶり、菓子パンなどで食事を済ますこともあるかもしれませんが、肉野菜炒めを添えるなどして栄養バランスを整えることを心がけましょう。朝食やおやつに乳製品を与えたり、週に1度は鉄分を意識したメニューを作ったり、不足しがちな栄養素を取れるように意識することが必要です。
3歳児の食事時間の目安
栄養満点の料理を並べても、すぐに立ち歩いて遊んでしまう子どもも。幼児は集中力が長く続かないのです。さらに、ある程度時間がたつと満腹に感じてしまい、結局食べられないまま時間が過ぎてしまいます。3歳児の食事時間の目安はおおよそ30~40分と考え、あまり長くなるようであれば途中でも切り上げを。次の食事までにしっかりおなかをすかせて、食べられるようにしましょう。
3歳児のメニューや味付けのコツ
大人の食事に近づいたとはいえ、まだ幼児食の範囲。味付けは薄味を心掛けましょう。だしの風味をきかせるなど工夫をして、素材のおいしさを味わえるようにするといいですね。大人用と別に作るのは大変なので、薄味で作って大人には香辛料などを加えるなど手間がかからない方法で料理を。大人も薄味にそろえるのも健康面からおすすめです。
3歳児には香辛料やカフェインなど刺激物は避けるべきですが、酸味のある酢の物などは少しずつチャレンジしてみてください。
(2)3歳児の食事の悩みと対策アイデア
子どもがなかなか食べない
子どもが食べるのが遅い、ダラダラと少量しか食べない、といったことはよくある悩みです。まずはしっかりおなかをすかせるため、間食は控えめに。3食決まった時間に食べるようにしましょう。テレビやデジタルデバイスは見ないで食事に集中できる環境を整えます。また、3歳児が食べやすい大きさや食感にすることもポイントです。
モチベーションをアップさせるため、こまめにほめることも心掛けて。「まだご飯が残っているじゃない!」と怒るのではなく、「もう半分食べられたね。あとちょっとだね」と前向きに捉えるようにしましょう。
好き嫌いが多い
好き嫌いが多くなるのも3歳ごろ。「野菜は全く食べない」といったことになると、親としては栄養の偏りが気になりますね。ただ、無理やり食べさせると嫌な気持ちが高まり、逆効果になってしまいます。
ポイントは、「無理に食べさせないけれど、あきらめない」。子どもが嫌いだから、と料理からその食材を排除してしまうと、より食べなくなってしまいます。子どもが嫌いな食材でも避けずに使って、「今日は少しでも食べてくれたらラッキー」と考えましょう。一時の気分で「嫌い」と言っている場合もあるので、親が思い込みすぎないことも大切です。
星やハートの型抜きを使うなど、見た目を工夫するのもひとつ。細かく刻んでわからなくする、という調理法もありますが、そうすると結局食べている実感がないので、「嫌い」は克服できません。ピーマンならピーマンと分かる状態で、食べられるようになるのがベストです。
食事中に遊びはじめる
さまざまなことに興味を持つ時期なので、食事中につい別のことに気を取られることもよくあります。気が散る原因になるおもちゃなどは食卓から片付け、目の届かないところに置いておきましょう。もちろんテレビも消しておきます。
「食事中は立ち歩かないのがお約束」と話して、きちんと座ったらほめる、ごはんを食べたらほめる、というようにしてやる気アップを。
それでも遊んでいるようであれば、ごはん終了の時間を決めてしまうのも方法の一つ。たとえば40分間として、遊んでしまって食べられていなくても時間になったら「もうご飯はおしまいね」と伝え、食器を下げます。一食が少なくても、一日のトータルで食べられていたら大丈夫。次までにおなかをすかせて、しっかり食べられるようにしましょう。
(3)お箸の準備について
お箸を使い始める時期
手先を使う巧緻性は徐々に向上していくものなので、あまり幼すぎるとうまく扱うことができません。おおよそ、3歳を過ぎて鉛筆がうまく持てるようになったころが目安です。ほかにも、スプーンで上手に食べられる、テーブルへの食べこぼしも少ないなど、お箸を持つ余裕があるかの確認を。
そのうえで子どもが「お箸を使ってみたい」と言い出したら、子ども用のお箸を用意してあげるといいでしょう。
お箸選びのポイント
3歳児であれば、15㎝前後が持ちやすい長さです。細すぎず、握りやすい太さの物がいいでしょう。お気に入りのデザインやキャラクターなら、使ってみようというやる気につながるかもしれません。口に入れて噛んでしまうことも考えられるので、安全な素材の物を選ぶこともポイントです。
お箸の正しい持ち方
お箸の正しい持ち方は、まず上の箸を鉛筆のように親指と人差し指で持ちます。下側の箸は、親指と人差し指の付け根の部分と薬指の爪の横において固定。上の箸だけを動かして食べ物を挟みます。
3歳児はいきなり上手に使えないことも多いもの。だからといって厳しくしつけるとお箸が嫌いになってしまいます。指の位置を固定する練習用のお箸なども販売されているので、子どもに合ったものを探して楽しく練習してみてください。
(4)食事での約束やマナーを伝える
3歳で身につけたい食事のマナー
食事の決まりやマナーのすべてを3歳で覚えるのは難しいですが、まずは基本的なことから教えていきましょう。
「いただきます」「ごちそうさま」のあいさつは一番に覚えたい約束です。親も一緒に言うようにしましょう。食べ物を大切にすることも基本として伝えるべきことです。お皿にご飯が残っていたら、きれいにする食べ方を教えてあげてください。食べ物や、料理をしてくれた人に感謝する気持ちを育てていきましょう。
「食事中は立ち歩かない」「食べ物を噛んでいるときは口を閉じる」といった初歩的なマナーも、3歳ごろから教えておきたいことのひとつ。食べ物はなるべくこぼさないようにできればいいのですが、こぼしたら怒るのではなく、自分でどう片付けたらいいかを教えてあげましょう。食事の前の配膳や、食べ終わったあとにシンクに運ぶ、といった片付けも徐々にできるようになるといいですね。
食事のマナーは親が手本を示して
子どもに食事のマナーを身につけてもらいたいなら、まずは親が手本となること。あいさつ、食事中の姿勢、お箸や食器の扱い方など、子どもが見ていることを意識して、気持ちのよいふるまいを心がけましょう。
また、子どもが同様にできないからといって厳しく叱責するのはNG。食事は怖いもの、窮屈なものという認識を与えかねません。マナーはみんなが楽しく気持ちよく食事をするためのもの、ということを伝えて、都度根気よく教えていくことが大切です。
(5)まとめ
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